「本当の出身地」を尋ねたドイツの警官、「人種差別」で賠償判決
ドイツの地方裁判所が、アフガニスタンからの移民の子孫である大学生の身元を確認した際に「本当の出身地」を尋ねたベルリン州警察の警官の行為を人種差別言動と認め、750ユーロ(約12万円)の賠償を命じる判決を下した。 ドイツの「ベルリン差別禁止ネットワーク」(ADNB)の報道資料によると、15日(現地時間)、ドイツ・ベルリンのミッテ地方裁判所は、人種差別的な言動をした容疑で警察官に750ユーロ(約12万円)の賠償を命ずる判決を下した。ベルリンで州警察が差別禁止法(LADG)によって人種差別行為と認定された事例は、2020年の法施行後では初めて。 裁判所が問題だと判断した警官の発言は「『本当の』出身地はどこか」というものだった。2020年夏に大学生のサイード・N氏は、ベルリンのミッテ区で自転車に乗りながら携帯電話を使ったという理由で、警官に制止された。警官は身元を確認する過程で、N氏に「どこの出身か」と質問し、N氏はドイツ西部の都市であるボーフムで生まれたと答えた。しかし、警官は「本当の出身地はどこか」と再度尋ねた。 N氏はアフガニスタン移民の子孫としてドイツで生まれた。N氏は、警察の質問が性別、民族、人種やユダヤ主義の特性、宗教、障害などを理由とする差別を禁止するベルリン差別禁止法に違反すると考えた。しかも目撃者は、この警官がN氏に再質問する過程で、N氏の話し方をまねたり、やや高圧的な態度を示したとも証言した。 警察は当初、100ユーロ(約1万6000円)の補償を提案した。しかしN氏はこれを拒否し、2021年末、ベルリン差別禁止法に基づき訴訟を起こした。その後約3年たって、警察に対しN氏への750ユーロの賠償が命じられた。ただし警察側は1カ月以内は控訴が可能だと、現地メディア「シュテルン」が報じた。 ベルリン差別禁止ネットワークは報道資料で、「警察は原告が差別を受けたと感じさせたことを後悔していると謝罪したが、裁判官はこの言葉は十分な謝罪だとは考えられないと強調した」とし、「(今回の判決は)差別にあった人が権利を行使して差別に対抗するためには、いかに多くの資源が必要なのかを示す事例」だと評した。当事者であるN氏も「肯定的な判決であるにもかかわらず、警察は引き続き私を加害者と描写し、最後まで認定と謝罪はなかった」と述べた。 2020年6月に発効されたベルリン差別禁止法は、ドイツ初の州政府レベルでの差別禁止法だ。ドイツでは2006年から連邦レベルでの差別禁止法である一般平等待遇法(AGG)が施行されているが、ベルリン差別禁止法は、連邦法より差別の理由を細かく定める一方で、法を順守しなければならない機関として、具体的に警察や官公庁などの公共機関を規定したと評価されている。 チョ・ヘヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )