防災や地方創生、金沢で論戦 自民総裁選、9候補が公開討論会 震災へ言及乏しく
自民党総裁選(27日投開票)の9候補は16日、金沢市内で開かれた公開討論会に臨み、大規模災害への対応や地方創生、女性の政治参画など幅広いテーマで論戦を繰り広げた。能登半島地震の被災地であることを理由に石川が開催地として選ばれたものの、震災に関する質問項目はなく、9氏が復旧・復興について言及する場面は少なかった。 公開討論会は党青年局・女性局が主催し、金沢市のANAクラウンプラザホテル金沢で開かれた。地方開催は今回の総裁選で初めてで、約800人が来場した。 高市早苗経済安全保障担当相(63)は復興庁設置法改正を提言し、「復興庁の機能を強化し、全国各地の被災地の復興にも取り組めるようにしたい」と強調。石破茂元幹事長(67)は持論の防災省設置に触れ、「災害に対応できない国は有事に対応できない」と述べた。林芳正官房長官(63)は国土強靱化(きょうじんか)を進め「安心をつくる」と話した。 地方創生に向けては、上川陽子外相(71)が地方空港の国際化と高速鉄道網の整備推進を挙げ、「ネットワーク大国をつくり、海外投資や輸出拡大で交流を図りたい」と語った。 小林鷹之前経済安保担当相(49)は「地方経済を支えているのは中小企業。価格転嫁を進めるため下請法を抜本改正したい」と力を込めた。茂木敏充幹事長(68)は「地方大学の特色を生かし日本一にしていく。知の一極集中を是正すれば地方に若者が集まってくる」と主張した。 河野太郎デジタル相(61)は女性の地方議員を増やすため、党の候補者の3割を女性とする努力義務を課すべきだと提唱。加藤勝信元官房長官(68)は比例代表での女性登用を「今すぐに着手できる」と語った。 総裁選の決選投票で国会議員票の比重が大きいことを巡っては、複数の候補者が地方票との格差是正に向け、投票のデジタル化を訴えた。小泉進次郎元環境相(43)は「デジタル化で同じ重みを持つ形にするのが望ましい」と主張した。 9候補には複数の現職閣僚が含まれていることもあり、討論会の会場は厳重な警戒態勢が敷かれ、来場者の手荷物検査が行われた。