高速車死傷事故に数値基準 危険運転罪適用で報告書 法務省検討会
車の高速走行による死傷事故で、より法定刑の重い危険運転致死傷罪が適用できるのはどのようなケースか。 法務省の有識者検討会(座長=今井猛嘉法政大教授)は速度に関する数値基準を設定し、違反した場合は一律に適用可能とする考えを盛り込んだ報告書をまとめた。同省は今後、法改正を視野に検討を本格化させる方針だ。 危険運転罪の法定刑の上限は懲役20年で、過失運転致死傷罪の懲役7年より重い。2018年に津市で時速146キロの乗用車とタクシーが衝突し、5人が死傷した事故の裁判で、危険運転罪の成立が認められなかったことなどをきっかけに検討会が設置され、法曹関係者や大学教授らによる議論が重ねられた。 27日に取りまとめられた報告書は、高速走行による死傷事故での危険運転罪の適用について、「構成要件を明確化して安定的な運用を確保する観点」を重視。「危険性が認められると言える数値基準を定め、それを満たす速度で走行させる行為を一律に対象とする」との考えを示した。 運転速度が上がるほど停止距離が長くなり、ブレーキやハンドルの操作による事故の回避が困難になることなども指摘され、基準として最高速度の2倍や1.5倍といった意見が出された。 このほか、飲酒運転で危険運転罪が適用できるアルコールの数値基準を導入することにも言及。呼気1リットル当たり0.5ミリグラム以上や0.25ミリグラム以上などを選択肢とする提案もあったという。