「もう負けられなくなっただけ」日本シリーズ3連敗ソフトバンクの誤算とは? 実は初戦から見えていた小久保監督「リリーフ起用の見極め」の綻び
実は連勝中も不安定だったリリーフ陣
ソフトバンクがホーム3連戦で逆襲を許した背景には、このリリーフ陣の不調がある。初戦から第5戦まで、一度もDeNA打線を零封できていないのだ。勝ち試合でも得点を奪われたことが、尾を引いているように見える。 日本シリーズは短期決戦と言われるが、1試合、1試合の意味が大きく、一見大差の試合といえども、その影響を侮ることはできない。 このシリーズは、第1戦、第2戦とソフトバンクが連勝した。しかし、DeNAの先発投手を打ち崩した一方で、第1戦は9回裏に反撃を受けて3失点。第2戦は4回までに6得点でリードしたが、5回から猛追を受けて3-6でなんとか逃げ切ったという試合だった。 加えてDeNAのリリーフ陣からは逆に、その2試合で抑え込まれた。相手が継投に入って5回以降には、第1戦の9回に3得点したのみだったのだ。言い換えれば、後半勝負ではDeNAに分があるという状況が生まれていた。 そして、舞台を博多に移してからは形勢が逆転。DeNAの先発陣がゲームの流れを作ったのである。
連敗の反省を生かしたDeNAの試合運び
第3戦のDeNA先発は東克樹。初回にDeNAに先制されたものの、すぐさまその裏に相手の併殺ミスから近藤健介の適時打で1点を挙げた。しかしその後は東を攻略できず、セットアッパー伊勢大夢、クローザー森原康平に試合を締められた。第4戦の先発アンソニー・ケイには初回3者連続三振と圧倒され、そのまま最後まで無得点。第5戦の先発アンドレ・ジャクソンに対しても、前日の再現のように初回3者連続三振というスタートになり、打線は沈黙した。 DeNA側からすれば、ソフトバンクの打線を封じ込める一方で、チャンスを効率よく得点に繋げられている。オースティン、牧らの一発攻勢もあるし、繋いでランナーを貯めて長打というシーンもある。そしてリリーフに代わったのちに、さらに点差を広げていくという戦いぶり。第1戦、第2戦の反省が完璧に生かされた試合運びといっていいだろう。 それでも前を向いた。小久保監督は、第4戦の試合後もポジティブ要素を語った。 「こんな大きな舞台で動じることなく、しかも、盗塁も決めましたしね、楽しみな選手ですね」 9番でスタメン出場を果たした高卒4年目の笹川吉康を絶賛。2打席目に左翼安打をマークし、その後も盗塁を決めた活躍ぶりを喜んだ。そして第5戦は1番に大抜擢。しかし、先発ジャクソンの前に1打席目は手も足も出ず、3者連続三振の足がかりを作ってしまった。 「3つ負けられると言ったんですけど、3つ負けてしまったんでね、やるだけです。1年間を通じてホームゲームにあれだけお客さんが入ってくれた中の最後の3連戦だったんで、そこで勝ちを見せることができなかったのは残念。ただ、何回も言うように、短期決戦は敗戦を振り返ってもしょうがないので。3つ負けられるのが日本シリーズ。もう負けられなくなったというだけ」 第5戦の試合後、小久保監督は平静を保つようにそう振り返っている。
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