元アイスホッケー選手の父から譲り受けた身体の強さと俊足が武器。流経大柏のエースFW山野春太が歩む復活ロード【選手権】
最後に頼れる仕上げ役が構えているのは心強い
[高校選手権・準々決勝]流経大柏(千葉)8-0上田西(長野)/1月4日/フクダ電子アリーナ 【動画】圧巻のゴールショー! 流通経済大柏vs.上田西ダイジェスト 元アイスホッケー選手で国体やユニバーシアードにも出場した父から譲り受けた身体の強さと、50メートルを5.9秒で駆け抜けるスピード。絶妙なファーストタッチ、ゴールを正確に捉えるシュート技術も目をひく。どれをとっても一級品で、流経大柏の9番を背負うに相応しい。 優勝候補のチームにおいて、特別な存在感を放つ選手がいる。FW山野春太だ。 初戦となった2回戦から2試合連続得点で勝利に貢献し、1月4日に行なわれた上田西との準々決勝でも躍動。前半13分、左SBの渡邊和之が左サイドから前方にフィードを送ると、山野は狡猾な動きで最終ラインの背後に抜け出す。後ろからのボールを一発でシュートが打てる場所に収めると、右足で冷静にネットを揺らした。 3点リードで迎えた37分には、渡邊のクロスをFW粕谷悠が中に折り返したところを、ヘディングで合わせてゴールを奪った。 8-0で大勝したなかで、チャンスを逃さない決定力の高さは際立つ。カターレ富山に加入内定のMF亀田歩夢、世代別代表歴を持つMF柚木創など、中盤に今大会屈指のタレントを揃えるチームで、最後に頼れる仕上げ役が構えているのは心強い。 3戦4発。エースとして申し分ない活躍を見せているが、本大会が始まるまで山野の立場は確立されていなかった。 1年生の頃から期待され、トップチームでも出場機会を得ていたが、昨年9月に右の踵を負傷。その直後に太ももの肉離れもあり、長いリハビリ期間に入った。今季が開幕する直前に復帰を果たしたが、調子が上がってこない。U-18高円宮杯プレミアリーグEASTで戦うAチームと、プリンスリーグ関東2部に籍を置くBチームを行き来し、安定して出場する機会が得られなかった。 自身がもがく間にチームは躍進。リーグ戦で勝利を重ねて上位争いを繰り広げ、「自分は試合に出られていなかったので悔しい想いがあった」(山野)。 それでも諦めずに調整を続け、最後の最後で復調。昨年11月23日に開催されたプリンスリーグ関東2部の第17節・山梨学院戦(5-1)でハットトリックの活躍を見せ、本大会でスタメン起用される流れを作った。 自信を取り戻し、選手権では大暴れ。持ち前の俊足を活かした裏抜けと決定力の高さは、元イングランド代表のマイケル・オーウェンを彷彿させる。中学時代からのチームメイトでもある司令塔の柚木も山野に対する信頼を口にし、賛辞を惜しまない。 「春太は怪我に悩まされている時期が長かった。でも、絶対に一緒にプレーすれば、ふたりでゴールまで完結できる。今大会はそういうシーンを多く作れているし、得点も決めてくれる。中盤の選手はすごく助かるし、春太はスピードがあるのでパスを出す側としても特長を活かしやすい」 苦しかった時を経て、春を謳歌するストライカーの勢いは止まりそうにない。「悔しい想いを今にぶつけられているので、本当に幸せで嬉しい」とは山野の言葉。ボールが蹴れる喜びを噛み締める伝統校の“ラストピース”は、07年以来の優勝を目ざして準決勝も貪欲にゴールを狙う。 取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
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