FRBは「利下げ」、日銀は「据え置き」を決定【解説:三井住友DSアセットマネジメント・シニアリサーチストラテジスト】
※本稿は、シニアリサーチストラテジスト・相馬詩絵氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。
【ポイント1】日銀:政策金利は現状維持
■日銀は12月18、19日の金融政策決定会合において、無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.25%程度に据え置きました。結果はおおむね市場予想通りでした。発表後、ドル円は円安方向に反応し、12時現在、1ドル=155円付近で推移しています。 ■国内経済や物価は見通し通り推移し利上げ環境は整いつつあるとの見方があるなか、日銀は7月の利上げ実施以降、慎重な姿勢を維持しています。今後、国内外の経済・物価動向を総合的に丁寧に見極め、利上げの判断をしていくと見られます。
【ポイント2】FRB:利下げを決定、今後の利下げ想定回数は減少
■12月17、18日、米連邦準備制度理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利(フェデラル・ファンド〔FF〕金利)の誘導目標レンジを市場予想通りに0.25%引き下げ、4.25~4.50%としました。4年半ぶりの利下げを決定した9月会合以降、3回目の引き下げとなりました。 ■四半期に一度公表されるFOMCメンバーによる政策金利の見通し(中央値)によると、2025年中に2回の利下げが想定されており、前回(9月時点:4回)から利下げ回数が減少しました。また、利下げサイクルが早期に終了するとの市場の思惑を背景に注目されている「Longer-run」(長期の見通し)は3.000%となり、前回(9月時点:2.875%)から引き上げられました。
【今後の展開】米新政権の動向も金融政策の不透明要因に
■2025年1月20日には、米国でトランプ新政権が発足します。同氏が掲げる関税政策などは米国だけではなく世界のインフレ・経済動向に影響を及ぼすとの見方から、日米の金融政策の先行きにも不透明感が漂っています。 ■そのため、今後公表される経済指標や要人発言などに市場の注目が集まりやすい状況が続くと見られます。まずは、本日(19日)15時半から始まる植田日銀総裁の記者会見が特に注目されます。 (2024年12月19日) ※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『FRBは「利下げ」、日銀は「据え置き」を決定【解説:三井住友DSアセットマネジメント・シニアリサーチストラテジスト】』を参照)。 相馬 詩絵(そうま・ふみえ) 三井住友DSアセットマネジメント株式会社 シニアリサーチストラテジスト
相馬 詩絵,三井住友DSアセットマネジメント株式会社