中国、消費者物価の伸び率が3カ月連続で縮小 11月は0・2%上昇 不動産不況が影響
【北京=三塚聖平】中国国家統計局が9日発表した11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で0・2%上昇した。10カ月連続でプラスを維持したものの、伸び率は10月から0・1ポイント鈍化。3カ月連続で伸びが縮小した。 中国政府は、今年の消費者物価の上昇率を「3%前後」に設定している。不動産不況を背景とした内需低迷が続き、自動車など耐久消費財はマイナス傾向にある。中国共産党・政府は9月以降、大規模な金融緩和といった景気対策を打ち出したが、不動産価格の下落が消費を冷やす逆資産効果もあって物価が上がりにくい状況にある。 品目別にみると、スマートフォンなどの通信機器は0・7%上昇だった一方で、自動車などの交通機器は4・8%下落した。中国人の食卓に欠かせない豚肉は13・7%上昇したのに対し、牛肉は13・5%下落し、食品価格は1・0%の上昇だった。 変動が激しいエネルギーと食品を除いたコア指数は0・3%上昇で、上昇率は10月から0・1ポイント拡大した。 統計局が同時に発表した11月の工業品卸売物価指数(PPI)は前年同月比で2・5%下落した。下落幅は10月から0・4ポイント縮小したものの、2年2カ月連続でマイナスだった。 中国共産党と政府が来年の経済政策の基本方針を決める中央経済工作会議が今月11日から2日間にわたって開かれるとの見通しを米ブルームバーグ通信が報じている。来年1月のトランプ次期米大統領の就任で中国経済に下押し圧力がかかることが見込まれる中、同会議で景気対策が強化されるとの期待が高まっている。