地域内外 つなぐ人に 和歌山県の人材育成講座開始
和歌山県の地域コーディネーター養成講座が始まった。地域内外の人を結ぶ人材の育成、人材同士のネットワークづくりが目的。人口減少が進む中で、特定の地域に多様な形で関わる関係人口の拡大を目指す。 【田辺以南は「参加」1割未満 小中学校、日帰り困難、和歌山県の万博招待事業の記事はこちら】 県はお試し移住やワーケーションなど関係人口創出に力を入れている。地域コーディネーター養成講座は全3回で、第1回が1日、田辺市役所であった。地域や世代もさまざまな約20人がコーディネーターの役割を学んだ。 講師で、起業家精神あふれる人材を育成するNPOエティック(東京都)の伊藤淳司ローカルイノベーション事業部長は「地域でやりたいなと思っていることをサポートするのが、地域コーディネーターの役割」と説明。他の地域で活躍するコーディネーターが取り組み事例を紹介した。 三重県尾鷲市で観光交流施設などを手がけた伊東将志さんは「(関係人口の)関係性は放置すると劣化する。大切なのはプロジェクトに興味を持った人たちを魅了させ続けられるか」と強調。「採用やインターン、関係人口にしても、適当に募集してもうまくいかない。これは地域の私たちの研修。私たちが変わらないと始まらないのではないか」と問いかけた。 どこの町も人手不足は共通しているが「一つ一つの課題を徹底的に分析し、問題の本質を見極めてプロジェクトを設計する。物語の台本のように始まりからエンディングまでを作る。自分で演じられなければ、他の誰かに演じてもらえばいい」と助言した。 熊本県五木村で、商品開発や移住支援などを手がける土屋望生さんは「『楽しみ』と『稼ぎ』があれば、人はそのまちに住み続ける」と主張。「小さいまちで戦うのに大事なのは企画とキャラ」と戦術を明かし、「村内事業者のものが売れなければ、私たちのものも売れない。そこに因果関係をつくる」と取り組み姿勢を示した。 受講生で、田辺市中三栖で地域食堂などを手がける花村あゆみさん(40)は「関係人口に興味があって参加した。プロジェクトの設計は本当に大切。私も台本を作りたい」と話した。
紀伊民報