話題の哲学者に聞く、難解な哲学書を読みこなすコツ
■ 挫折せずに哲学を学ぶコツ ここで哲学書を読むのが苦手な人のために、哲学書を読みこなすコツを2つ紹介します。 まず1つ目が、本の内容を身近なものに落とし込んで考えてみることです。 前述した“本の表紙に裏側が存在するか”のように、哲学は事物の存在や人間の認識などについての難しい議論を、私たちの身の回りにあるものに落とし込んで説明することができます。 分厚い本の中で長々と説明されていることでも、実は著者が言っていることの本質さえ理解すれば、身近なことで説明がつくことだったりする。 でも、そのためには“思考のトレーニング”が必要です。難しい言葉で書かれていることでも、最終的には私たちの日常生活に密接に関わっているはずなので、どんなものに置き換えられるか自分なりに考えてみてください。 2つ目は、最初から最後まで“読み通すこと”にこだわらないことです。 小説などのストーリーがあるものは、最後まで読まないとオチがわかりませんよね。でも、哲学書は必ずしもすべてを読破しないと、内容を理解できないものではありません。 特に英米系の哲学書は“論文集”みたいなものが多いので、最初から最後まで読むことが重要ではないことがよくあります。 逆に、読んでいる過程のなかで「この哲学者が言っていることは間違っているのではないか」とか、「最初と最後で言っていることが噛み合っていない」など、疑問を感じながら読み進めることが大切だったりもします。 大学で哲学を専門的に勉強すると、短い文章を何週間にもわたって読み込んだり、数行の言葉について長々と議論したりすることが多々あります。でも、それが哲学を学ぶうえで、すごく重要な思考のトレーニングになるんです。 したがって、難しい哲学書に書いてあることをすべて理解する必要はないので、自分のペースで気になるところをじっくりと読んでみてください。きっと哲学を学ぶことがより楽しくなると思います。(文・坂本遼佑) シンクロナスでは、様々な分野のトップランナーをお招きして「日常を豊かにする」知識やスキルをライブ配信で学ぶ「シンクロLive」を配信中。 現代社会が抱える問題や日本人の悩みの根源に、哲学の視点で迫った哲学者・戸谷洋志さんLIVE配信。現在はアーカイブ動画にてご覧いただけます。
シンクロナス編集部