リコージャパンのデジタルサービス戦略、業務改革やAI、GXなどに注力へ
また、ストックビジネスにつながる重点製品として、リコー経由で提供される「Office 365」となる「クラウドサービス for Office365」やRICHO kintone plus、DSSとの提携で製品化した「リコーサイバーセキュリティパック」など18製品を選定、これらの提案を加速している。中でもリコーサイバーセキュリティパックのインシデント対応サービスは、累計1286契約を獲得。2024年8月以降、月平均200件以上の契約数で推移し、2024年10月までの売上高が約16億円に達しているという。 宮本氏は、スクラムシリーズの2024年度上期売れ筋ランキングも初めて公表した。スクラムパッケージでは、「セキュリティパック」「テレワークまるごとパック」「BCP対策支援パック」が上位3製品で、スクラムアセットでは「おまかせ Windows 展開モデル」「ストレージの一元集約モデル」「CX向上電話コミュニケーション変革モデル」が上位となり、セキュリティや働き方改革、バックオフィス関連などの製品が好調な売れ行きを見せているとした。 リコージャパンは、スクラムシリーズの導入事例を紹介する「中小企業応援サイト」を開設。これまで627事例を取り上げており、製品起点ではなく「コト」起点で困り事を解決するためのウェブサイトの構成にしていることもアピールした。 AIに関する取り組みでは、2024年2月に開設した価値共創拠点「RICOH BIL TOKYO」を活用し、リコーが持つ最新のAI技術をデモストレーションし、顧客が体験できる場を用意する。これまでに223社が来場しているという。 また、「Chat GPT」を社内データと活用しチャットボットとして利用する「RICOH Chatbot Service デジタルバディ」、検索拡張生成(RAG)の本格活用や社内ドキュメントをナレッジ活用につなげる「RICOH デジタルバディ」、自社独自AIを業務に活用するためのクラウド版およびオンプレミス版のプライベート大規模言語モデル(LLM)構築などを行っている。 宮本氏は、「プライベートLLMは、実用レベルを持つ日本のLLMの技術力に加え、オンプレミスによるセキュリティ対応力が評価されている。社内固有の用語を利用できたり、医療分野でカルテ情報や院内規定などの情報を生成AIで利用したり、教育分野では教員規定や指導要領を生成AIで利用したいという要望にも対応できる」と述べた。 宮本氏は、同社における人材育成の取り組みにも触れた。これまでのプロフェッショナル認定制度に加え、2024年度からスペシャリスト認定制度を新たに開始。選抜者や立候補者を対象に、学習や実践活動を分野ごとに支援し、重要な事業およびソリューション分野をリードする人材を育成するという。ここでは、「Microsoftエバンジェリスト」「kintoneマスター」「バックオフィススペシャリスト」「AIエバンジェリスト」「セキュリティスペシャリスト」を育成する。 中でも、新たに育成するAIエバンジェリストは、2025年度までに300人の認定を目指しており、現時点で1387人の社員がエントリーしているという。AIエバンジェリストは、同社の強化ポイントであるAIに関する知識、技能、実践力の底上げを図るもので、「G検定」などの外部資格の取得や、社内で実施しているeラーニングコンテンツの受講といった知識の習得、社内外に向けたAIセミナーの講師経験などの技能に加え、AIソリューションの販売や、社内業務改善の提案実績の成果要件を満たした社員が認定されるという。