20年ぶりの新紙幣発行、企業の35.1%が日本経済に「プラス」
~「特需」「肖像人物ゆかりの地・企業の活性化」に期待、「費用負担の増加」55%~
7月3日に日本銀行は新しいデザインの紙幣の発行を開始し、20年ぶりに紙幣が刷新された。 今回の新紙幣発行で、自動販売機、レジ、両替機などを保有・設置する企業は、システム改修や機種の入れ替えに追われる一方で、新紙幣発行による経済効果も期待されている。 そこで帝国データバンクは、新紙幣が日本経済へ及ぼす影響についてアンケートを行った。
新紙幣、企業の3社に1社が「プラスの影響」
7月3日から始まった新紙幣の発行は、日本経済にどのような影響がある(見込み含む)と思うか尋ねたところ、「プラスの影響がある」(プラスの影響の方が大きい)が35.1%で最も高くなった。「マイナスの影響がある」は14.3%、「影響なし」は32.5%となった。 「機種入れ替え・システム改修などかなりの業務内容になり、更にそれらのキャッシュレス対応を兼ねる動きも出てくると、円安などで経済マインドが停滞するなか、大きな経済効果だと考えられ、期待できる」(建設)といった歓迎する声が聞かれた。 一方で、「コロナ以降、非接触やデジタル化が進むなか、新紙幣発行は一部業界では入れ替え需要などの特需が見込まれるが、それを利用する多くの中小零細企業は、機種入れ替えやシステム改修などで費用捻出を迫られる。景気浮揚に逆効果となる恐れの方が高い」(運輸・倉庫)といった声もあり、プラスの影響を規模別でみると、「大企業」(45.0%)と「小規模企業」(27.5%)とでは20ポイント近い差があった。
「費用負担の増加」が最多55%、「特需」と「肖像の人物ゆかりの地・企業の活性化」が続く
日本経済への具体的な影響としては、55.5%の企業が、機種入れ替えやシステム改修など「企業の費用負担の増加」をあげた(複数回答、以下同)。次いで「特需による企業の売り上げ拡大」(37.3%)が続く。 企業からは、「セルフのガソリンスタンドを数店舗営業しているが、紙幣投入機の入れ替えコストがかなり負担」(専門商品小売)、「金銭機械メーカーより精密板金加工の仕事をもらっている」(鉄鋼・非鉄・鉱業)と、機器やシステムを新紙幣へ対応するための負担や特需についての声が多く寄せられた。 また、「渋沢栄一の生誕の地なので、イベントなどで盛り上がっている」(卸売)といった声も聞かれた。「肖像の人物ゆかりの地・企業の活性化」(35.6%)や「キャッシュレス化の後押し」(31.6%)などが上位にあがった。