都政のプロによる小池都政の評価は?失政ゼロでも不透明
都知事選、この人が当選したらどうなる?有力候補3名の場合を予想
ここまで、小池都政8年を振り返ってきましたが、小池都知事が再び当選されたら都政はどうなっていくのでしょうか。 まずは、小池氏が再選された場合ですが、後藤氏は「8年間を通じて徐々に安定してきた。その安定路線が3期目も続くのではないか」と分析します。 小池都知事の1期目に見られた改革に対する強い姿勢は、「自民党との対立姿勢が徐々になくなってきて、ほぼ同じ路線を歩んでいる。裏を返せば安定感だが、改革というところはしぼんできたように見える」とコメントします。 ほかの有力候補が当選した場合は? 蓮舫氏について後藤氏は、「政権交代になるので、はじめは大きな混乱があるだろう」と予想する一方、「政策に言うほど大きな違いが見られない。そういう意味では、あまり混乱せず進むのでは」と見立てます。 難しそうなのは議会運営になりそうですが…… 後藤氏は、小池都知事がそうであったように「蓮舫さんも首長となれば、現実的に議会の了承を得るというところで、自民党・公明党の政策を無視できない」と指摘します。 現在、都議会では立憲・共産で34議席獲得しています。都議会の過半数は64議席で、最大会派の自民党が28議席です。このため、ひとつの会派を組み入れたところで与党は形成できません。 MC鈴木「自民+無所属会派をいくつか、都ファ+公明という形で与党を形成しないと予算が通らないという状況。そのあたりが大変そう」 自民党も予算反対の経験はあるとしながらも、後藤氏は、「自民党になってくると、予算反対はよしとしないところがある」と推察、歩み寄りを見せるとも予想します。 MC鈴木も「自民党にとっても、予算の受け手となる都民の皆さんがたくさんいらっしゃる中で、予算に反対するのは大変な行為ですからね」と相づちを打ちます。 一方、石丸伸二氏が当選した場合には「議会とバチバチじゃないですか(笑)」と予想する後藤氏。 当選したら民意を反映したと言えるため、議会も「反対のための反対はしないと思います」と言うものの…… 後藤氏「石丸氏のキャラもあるので……石丸さん自身も政治改革を強く訴えているので、議会運営は激しくなると思うのかな」 石丸氏が政策に掲げる、東京の人口過密の解消については。 後藤氏「私も個人的にはそう思います。これだけ地方が疲弊している中で、東京一極集中といわれるにはそれだけの理由がある。『東京から変えていく』という石丸氏の主張は悪くないが、一方でその話が都民に理解を得られるか、受けるか。ピンとこないところが多いような気がする」 過密が解消されたときのイメージが想像しづらいという点があるのではないかと予想します。 また、後藤氏は石丸氏のネットでの発信力に着目します。 後藤氏「石丸氏はネットで人気を博して注目を浴びている。発信力や世論形成などネットが欠かせない中、ネットに主軸を置いているところは都政を変えていくという感覚がありますね」 最後に、都知事にはどのような能力や人間性が求められるでしょうか。 実務者として取材を続けてきた後藤氏は、「首長は自治体の有権者のために政策を打ち出すもの。言うなれば有権者が株主であり、株主のために働くのがあるべき姿」と前置きした上で、東京都知事ならではの役割に言及します。 後藤氏「東京都の場合はそこだけではなく、日本全体のことを見ないとならない。世界の中の東京。有権者目線だけではない、日本全体や世界を俯瞰した目線が明確に必要」 コロナ禍でも、東京都の対応が日本全体で注目され、影響力の強さを示しました。豊かな財政があるからこそできることではありますが、「ニッポンスタンダード、ワールドスタンダードにできるか」という視点での取り組みも必要となるのは、東京都知事ならではでしょう。