日産株4年ぶり安値、ブランド力などに本質的課題と厳しい指摘も
カルロス・ゴーン元会長時代の拡大路線と決別し、近年は「販売の質」向上を進めてきた日産は同計画で販売台数の100万台上積みや利益率の改善を掲げたが、市場関係者からは高すぎる目標と危惧する声が上がっていた。販売不振により目標との乖離(かいり)が鮮明となる中、内田社長はこれらの目標を見直す考えを示した。
英調査会社ペラム・スミザーズ・アソシエイツのアナリスト、ジュリー・ブート氏はリポートで、日産が抱える問題は「人員削減や生産能力の削減で簡単に解決できるものではない」と述べた。かつて販売の低迷、過剰な生産能力、インセンティブへの依存といった問題を抱えていた日産の業績が回復した背景には円安や供給不足の反動による高需要などの恩恵があったとし、「現在の市場環境は以前ほど寛容ではない」と指摘した。
米国では関税引き上げを訴えてきたトランプ前大統領が大統領選に勝利しており、日産にとって新たな不透明要因となる。SMBC日興の牧氏は10月のリポートで、米国外の全ての国に関税が10%課された場合、日系メーカーでは日産はマツダに次いで業績への影響が大きいとした。内田社長はトランプ氏が返り咲いても同社の中長期的な取り組みの方向性は変わらないとした上で、動向を注視していく考えを示した。
(更新前の記事で2段落目の株価に関する記述を訂正済み)
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Tsuyoshi Inajima