1年に1日だけオープンする「幻のレストラン」 “生産者”と“消費者”がつながる場所に… 仕掛け人は東京のフレンチシェフ 三重・尾鷲市
さらに横山さんたちを困らせたのが、降り続く雨。テーブルのセッティングなどは前日までに終わらせる予定でしたが、会場の設営にも遅れが出ていました。そこへ、待ちに待った野菜が到着! 前日の仕込み作業は夜遅くまで続きました。 果たしてオープンに間に合うのでしょうか…?
漁師も絶賛! 尾鷲産のフルコース
レストラン開店当日。昨日の雨とは打って変わり、青空が広がっていました。 レストランの仕掛け人 横山太郎さん: 「いろんな人がこのためだけに集まっているから、エネルギーが凝集した時間なので、それを楽しんでもらえたら」 尾鷲の山から切り出したヒノキのテーブルには、同じく尾鷲の山でとってきた植物が飾られます。そこへ続々とやってくるお客さん。用意された40席は国内外から集まった人たちで満席になりました。
こうして1日限定のレストランが開店しました。ウスバハギやカンパチなど、尾鷲でとれた魚の盛り合わせや、調達に一苦労した野菜とイカのサラダも好評です。会場には鮮魚店の岩﨑さんの姿も。 岩崎魚店 岩﨑肇さん: 「全然(魚が)とれなくなって、なかなか食材をそろえられない現状で、おいしいっていう一言がすごくうれしいですね」
定置網の漁師さんもお客さんとテーブルを囲み、「今日の朝しめたやつですよ、ウスバハギ」と食材の説明をしながら、尾鷲の食材をふんだんに使った全8品のフルコースを一緒に楽しんでいます。 横山さんが目指していた「消費者と生産者が交流する空間」が、そこにはありました。
お客さんたちも「生産者の方のお話が聞けるのが素晴らしいと思います」「森が豊かになると、海の豊かさ、流れていく水の循環ができる。太郎さんがずっと言っていて、今日はそれを感じられたのかな」と笑顔を見せ、1日だけの特別なレストランで、かけがえのない時間を過ごせたようです。 レストランの仕掛け人 横山太郎さん: 「この食材の場所で対話や交流をするのが一つの趣旨なので。(達成度は)正直言えないですけど…120%にしておきましょう!」 生産者と消費者がテーブルを囲んで語り合う「幻のレストラン」。次のオープンは来年の予定です。