エンジンは単気筒から2気筒へ!北欧スタイルのソフトスポーツ【生まれ変わったハスクバーナ スヴァルトピレン801海外試乗】
ハスクバーナが導き出したソフトスポーツの答え
文/Webikeプラス 小川勤 サーキットでのパフォーマンスを過度に追求した結果、スーパースポーツの進化についていけなくなってしまったユーザーはたくさんいる。200psを超えるパワーや1万5000rpmを簡単に超えていくエンジンにリアリティはなく、サーキットでもそのパフォーマンスを知ることは難しい。 【画像】ハスクバーナ スヴァルトピレン801のディテール解説をギャラリーで見る(16枚) それと同時期にMotoGPマシンは市販車からかけ離れたフォルムとなり、ライダーの操作も走行中に電子制御や車高をコントロールする特殊で複雑な領域に突入。レースでのスポーツライディングにおいても、多くのユーザーがイメージする『バイクを操る』ことを超越しつつある。 まさにスポーツバイクやスポーツライディングは過渡期。厳しい規制でハイパフォーマンスエンジンの開発が難しくなったこともあり、メーカーはスポーツバイクへのアプローチを変更。新しいスタイルを模索し続けている。 欧州ではミドルクラスのスポーツバイクを『ソフトスポーツ』と呼ぶ流れが起きており、各メーカーがレース、窮屈なポジション、ハードなサスペンション、高回転型エンジン、温度依存の高いタイヤから脱却した新しい形のスポーツバイクを提案。ただし、それは当たり障りのないバイクのことではない。さじ加減はとても難しいのだ。 そんな時代にハスクバーナ・モーターサイクルズ(以下、ハスクバーナ)が出した『ソフトスポーツ』の一つの答えがスヴァルトピレン801である。 先代のスヴァルトピレン701からデザインの流れは汲むものの、エンジンは単気筒から並列2気筒となり全てを刷新。完成度を大きく向上させた。
ハスクバーナとKTMだけが持つ不等間隔爆発の並列2気筒エンジンに注目
バイクにおいてエンジンの楽しさはとても重要だ。近年、スポーツバイクにおいて並列2気筒エンジンが増えてきているが、人気は270度位相クランクを使う不等間隔爆発(90度Vツインと同じ)だろう。 しかし、KTMとハスクバーナは、他にはない285度位相の不等間隔爆発を採用。ちなみにメーカーは75度と表記するが、これはKTMのVツインエンジンの挟み角が75度だから。KTMが長年Vツインエンジンで培ってきた爆発間隔を並列2気筒エンジンで再現。そしてその技術がついにハスクバーナのロードスポーツにも投入されたのだ。 このエンジンを活かすための電子制御も充実。シフトアップ&ダウンに対応するイージーシフト、選べるライドモード、モードに応じて介入度が連動するABSやトラクションコントロールも装備する。 さらに面白いのはダイナミックパックというオプションを用意していて、よりスポーツ性を追求したいユーザーには電子制御を任意に設定できるネクストステージを用意していることだろう。 タイヤはブロックパターンのピレリ製MT60RSを採用。「このタイヤが好きでなければ変えてください。そのために最もメジャーなサイズにしたんですから」と開発陣が言ってしまうところもなんともハスクバーナらしい。好みのバイクに仕立てるのはあくまでライダーなのである。