2位じゃダメですか?→「J2優勝」にこだわり抜いた名将の言葉が納得感しかない
就任1年でFC町田ゼルビアを初のJ1昇格へと導いた黒田剛監督。かつて青森山田サッカー部の「名将」と言われた黒田監督は、どのようにチームをマネジメントし、勝利を掴んできたのか。スポーツでもビジネスでも「勝つ組織」が大切にしている3つのこととは。※本稿は、黒田剛『勝つ、ではなく、負けない。 結果を出せず、悩んでいるリーダーへ』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 長年追い求めてきた 悲願のJ1昇格に歓喜 歓喜の時が、FC町田ゼルビア(以下、ゼルビア)に訪れました。 2023年10月22日、J2リーグ第39節のロアッソ熊本(アウェイ)に3対0で勝利。2位以内が確定し、J1昇格を決めました。ゼルビア史上初めてのJ1リーグ昇格です。 町田市は東京都の南西部に位置する人口約43万人(2024年5月現在)の街。約50年前に小学生のチームとして生まれたゼルビアにとって、歴史的な1日となりました。 早朝から熊本市内の空は好天そのもの、チームカラーであるブルーがまるで大きな帯のようにどこまでも続き、約1000km離れた町田市内のパブリックビューイングで応援してくださっている市民やサポーターを繋いでいました。 しかし、勝利はたやすく手に入るものではありません。 試合前半は膠着状態。 重い空気を打ち破ったのは高校時代の教え子でした。前半44分、青森山田高出身で19歳(当時)の宇野禅斗選手の強烈なミドルシュートで先制し、目が覚めたかのようにチーム全員の動きがよくなりました。 後半7分にMF高橋大悟選手が左足で追加点を決め、9分後にMF下田北斗選手がこぼれ球をゴールに叩き込みました。
試合終了を告げるホイッスルが鳴り、選手、スタッフ、ファン・サポーター、そしてクラブをずっと取材し続けてきた記者を含め、すべての関係者が喜びを爆発させました。まさにクラブが長年追い求めてきた悲願のJ1昇格の瞬間でした。 無論、私も選手やスタッフの輪に入り、グルグルと何度も何度も回り続けて、喜びに浸りました。 ですが、“本来の目標”は別。開幕前から私が言い続けてきた言葉があります。 「我々が目指すべきは“J1昇格”ではない。“J2優勝”だ!」と。 ● シーズン開幕前から 「J2優勝」に拘ったワケ Jリーグは1部から3部まであり(2024年現在)、昇降格の規定があります。2023年の大会方式ではJ1への昇格は3枠、そのうち2枠はJ2で1位・2位の成績だと自動昇格が確定。残りの1枠は、3~6位のチームのJ1昇格をかけたプレーオフで決まります(※結果、東京ヴェルディがJ1昇格。2024年はJ1の舞台でゼルビアとヴェルディの通称「東京クラシック」が実現)。 ゼルビアは前年の2022年シーズンは15位でしたが、シーズン開幕前からJ2優勝を狙って準備を進めてきました。 なぜそこまで「J2優勝」に拘ったのか。