異才「ハイドロ」を奢られた小型車シトロエン「GSブレーク」に試乗! 実用ワゴンなのに極上のドライビングプレジャーでした【旧車ソムリエ】
乗り味のすべてが特別! やっぱりハイドロ・シトロエンは素晴らしい
そして一定以上のスピードになると分かってくるのが、GSブレーク本来の資質である。空力ボディのおかげか風切り音も小さく、定速クルージングではもっと大きなサイズと排気量のクルマに乗っているかのような錯覚に陥る。 古来より「空飛ぶ絨毯」と形容されてきたサスペンションは、ハイドロニューマティックの真骨頂であるフワリと浮いたような乗り心地を提供するかたわら、ロードホールディングの点でも非常に優れている。 また、この時代には当たり前だったノンパワーのステアリングは、微速域で切り返しが続くと、情けない悲鳴を上げてしまいそうなくらいに重い手ごたえを示すいっぽう、20km/hも出ていれば劇的に軽く、しかも正確でシャープ。カーブではグラリと盛大にロールするのに、ノーズはピタリとコーナー出口を示す。 さらには4輪ディスクのブレーキも、ストロークの極端に短いハイドロ制御のシトロエン式ながら、操作に慣れれば現代車に負けないくらいにスッと効いてくれるので、あくまで無理のないスピード域であれば、まったくストレスフリーのドライビングが楽しめるのだ。 強烈に個性的なのは、今や望んでも得られなくなったシトロエンのデフォルト。でも、あくまで実用ワゴンを創ろうとした開発者側にドライバーを楽しませようだなんて意図は皆無だったはずながら、結果として極上のドライビングプレジャーを提供してくれる。 まったくハイドロ・シトロエンとは、つくづく面白いクルマであると再認識したのである。
武田公実(TAKEDA Hiromi)
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