イチョウ葉で「除草シート」JR西が線路脇で検証中 小学生らが落ち葉集めに協力
JR西日本がイチョウの落ち葉を「除草シート」として線路脇に敷き、雑草の繁茂を抑制する取り組みを進めている。これに協力しようと、兵庫県加古川市の市立氷丘南小学校の児童たちが、校内のイチョウ並木の下にたまった落ち葉を集め、JR西に引き渡した。JR西は同校の協力に感謝し、学校側も「環境面からも教育面からもよい活動に参加できた」と喜んでいる。 同校では12日の昼休み、栽培委員会の5、6年児童に加え、近くにある市立氷丘南幼稚園の園児や地区住民らも集まり、約40人でイチョウの落ち葉を拾い集めた。参加者は熊手を使ったり溝の蓋を開けてたまった葉をかき出したりして袋に詰めていった。 「こういうことが地域のためになるなんておもしろい」と6年の藤波悠斗さん(12)。原武弘校長は「ごみとして捨てていたものが活用されると聞き、SDGsの観点からも意義のある取り組みに関われた」と話していた。 イチョウ葉の活用に取り組んでいるのは、JR西日本姫路保線区加古川保線管理室。長浜哲朗室長(44)が昨夏、高齢の親類から「イチョウの近くには他の植物が育ちにくい」という話を聞いて「線路脇の除草に使えるのではないか」と思い立ち、検証を開始。雑草の専門家からもアドバイスをもらい、現在は山陽線魚住-土山間の線路脇で長さ70メートルにわたってイチョウの葉を敷き詰め、飛散防止のためネットで覆って状況を観察している。 今のところ一定の抑制効果が確認される一方、環境への悪影響などはみられないといい、今冬も公園や学校、社寺など県内約10カ所から落ち葉の供給を受けて実験範囲を広げる予定だ。「加古川保線管理室管内だけでも除草に年間3千万円かかる」と長浜さん。「皆さんの協力を得ながら不要物を活用していくことで、環境向上にも地域共生にもつながればうれしい」と話す。この取り組みはJR西の他管内だけでなく、同業他社も関心を寄せているという。