【UFC】1年で4試合の王者ペレイラ「試合を重ねることで成長できる」×ラウントリーJr「“ラスボス”に挑戦はとてもクールだ」
2024年10月5日(日本時間6日)に米国ソルトレイクシティのデルタセンターにて『UFC 307: Pereira vs. Rountree』(U-NEXT配信)が開催される。 【写真】元RIZIN王者のプロハースカを2R 左ハイでKOしたペレイラ メインイベントは、UFC世界ライトヘビー級選手権試合(5分5R)で、王者のアレックス・ペレイラ(ブラジル・37歳)が、同級8位のカリル・ラウントリー(米国・34歳)を挑戦者に迎えて、3度目の防衛戦に臨む。 ペレイラは、キックボクシング33勝7敗後、MMAに転向し11勝(9KO)2敗。フィニッシュ勝利率81パーセントの強打者だ。 UFCではミドル級、ライトヘビー級の二階級制覇王者で、ミドル級時代にはショーン・ストリックランド、イズラエル・アデサニヤらに勝利している。 2023年7月にライトヘビー級に転向し、ヤン・ブラホヴィッチに判定勝利。11月にはライトヘビー級王座決定戦として元同級王者イリ―・プロハースカを2R KOに下し王座戴冠を果たした。 2024年4月の『UFC 300』で元ライトヘビー級王者のジャマール・ヒルを1R、左フックでKOして初防衛戦に成功すると、6月の『UFC 303』では、プロハースカと再戦。1R終了時に左フックでダウンを奪うと、2R開始時に左ハイキックで再びダウンを奪いパウンドで2R TKO勝ち。2度目の王座防衛に成功している。 対するラウントリーJrは、MMA13勝(9KO)5敗。UFC5連勝中のムエタイバックボーンのストライカーだ。2018年7月の『UFC 226』では、元K-1ファイターのグーカン・サキに1R TKO勝ちしている。 2014年にプロMMAデビューすると、16年の『TUF23』で決勝進出。2021年9月のモデスタス・ブカウスカス戦以降、カール・ロバーソン、ダスティン・ジャコビー、クリス・ドーカス、アンソニー・スミスを相手に5試合中4試合をフィニッシュ勝利している。 2024年6月の『UFC 303』でジャマール・ヒルと対戦予定だったが、ラウントリーが禁止薬物のDHEAが混合されたサプリメントを誤って摂取したとUFC側に申告したため、試合中止に。2カ月間の出場停止処分後、約10カ月ぶりの試合でペレイラに挑む。 試合前メディア向けインタビューでの両者との一問一答は以下の通りだ。 ◆アレックス・ ペレイラ「俺や アデサニヤみたいに、簡単にキックボクシングからMMAに転向できると思ってる人がいる」 ──ペレイラ選手は、ほぼ3、4カ月間隔で戦っていますね(※2023年7月にヤン・ブラホヴィッチ、11月にイリー・プロハースカ、2024年4月にジャマール・ヒル、6月にイリー・プロハースカとの再戦で4連勝中)。今回の試合に向けたキャンプの調子は? 「身体は大丈夫だよ。もちろん問題も起こるけど、頻繁に戦うためにはそれが代償だね。でも全体的にいい感じだし、上々の仕上がりだ」 ──前回の試合後には「少し休もうかな」と言っていましたが、もっと間隔を空けるつもりだった? 「いつも試合後には『少し休もうかな』って言うんだけど、結局ジムに戻ってトレーニングを始めてしまうんだ。そうすると、自分の成長を実感できて、もっと頻繁に試合をしたいって思うんだ」 ──今回の対戦相手のカリル・ラウントリー・ジュニアは、メインイベントで戦ったことがありませんが、対戦相手の候補として頭にありましたか。 「いや、正直想像してなかった。実は前の試合(アンソニー・スミスを3R TKO)の時に彼が俺の名前を出していたんだけど、彼はランキングでだいぶ下だったから、特に気にしてなかった。でも、何にでも備えておかないといけないから大丈夫さ」 ──ファンの間でペレイラ選手がカリル選手にとって「ラスボス(最後の相手)」と呼ばれています。彼はダスティン・ジャコビーやグーカン・サキみたいなGLORY出身のキックボクサーに勝ってきて、あなたがラスボスだという見方をしている人が多い。 「そのストーリーは面白いと思うよ。彼とグーカン・サキの試合も見たし、そこでのいくつかの動きについて研究もした。ダスティン・ジャコビー戦でのファイトも見たんだが、あの試合はカリルの勝ちではないと思う」 ──あなたはダスティンが勝ったと思っているようですが、いずれにせよスプリット判定の接戦でした。グーカン・サキやダスティン・ジャコビーは、カリルに対してどんな過ちを犯したと考えますか。 「みんなに全部教えるわけにはいかないが、彼のゲームには多くの弱点があると思う。たくさんのミスや欠点を見つけたし、それを今回の試合で活かせると思っている。でも、今言えるのは、俺はこの試合を素晴らしいものにする準備ができているってことだけだ」 ──ラウントリー選手は自身の優位点について、「爆発力がある」「サウスポーでハンドスピードが速い」「パウンドが強力だ」と言っています。あなたがこれまで戦った相手と比べて、彼は特に違うところがある? 「いや、これまで戦った相手と比べて特に違うってことはないよ。でも、彼がアグレッシブなところは好きだし、前に出てくるスタイルも気に入っている。だから、いい試合になると思う」 ──ショーン・ストリックランドとの練習はいかがでしたか? 「とてもハードなトレーニングだったけど、非常に充実していた。ショーンは心が温かいし、すごくいいやつだ。世間ではいろいろ言われているけど、俺たちファミリーの間ではいつもナイスで、尊敬を持って接してくれる。彼と一緒に練習ができて本当に良かった」 ──あなたがヘビー級で戦うのか、あるいはミドル級で戦うのか、常に話題になっています。 「このライトヘビー級のベルトを防衛することを選ぶよ。減量して下の階級に行くには時間がかかるし、逆に上の階級に行くにも準備が必要なんだ。だから今のところ、このままの階級が自分にとって最善だ」 ──『ノーチェUFC』のイベントでジョン・ジョーンズに会っていましたが、一緒にトレーニングしたいと思いましたか。それとも、もし戦えたらビッグファイトになるだろうとも考えましたか。 「トレーニングのことしか考えてなかったよ。ジョンは『次の試合が最後になるかもしれない』って言っていたしね。だから、彼のところに行って少し勉強したいと思ったんだ。分かるだろ、俺はオープンマインドな男だから、もし練習ができれば素晴らしいことだと思う」 ──今回の大会の地であるソルトレイクシティの印象は? 「正直に言うと、山の中の大きな家に10人くらいで滞在していて、キャンプに集中していた。あまり外には出なかったから、多くのことは言えないんだ。でも、景色は美しくて、山での時間を楽しんでいるよ。ここは本当に美しい場所だ」 ──これで1年以内に4試合目になります。この頻度で試合を戦えるモチベーションは? 「試合を重ねることで、成長できるからだ。トレーニングしていると、自分がどんどん進化しているのが分かるし、その成長を試合で実感できるのが最大のモチベーションなんだ。だからもっと戦いたくなるし、もっと強くなりたいと思うんだよ」 ──カリル選手にはまだタイトルマッチを戦う実績が無いという意見もありますが、あなたと戦う資格はあると思う? 「いや、彼には戦う資格がある。俺も同じようにランキングを駆け上がったことがあるし、彼もそのためにしっかり努力してきたんだ。努力して、勝ち続けた結果、チャンスが巡ってきたんだよ」 ──ペレイラ選手のジムの皆が、あなたからインスピレーションを受けている。指導力についても評判ですが、若いファイターたちからお手本にされることについては、どう考えている? 「これは俺にとってすごく大事なことなんだ。ジムだけじゃなく、もっと広い意味でもね。1カ月前にブラジルに行った時、自分が与えているインスピレーションを実感したんだ。下から這い上がろうとしている人たちにとって、俺の存在が大きな励みになっているのだと思う。そうやって人をやる気にさせられることは、俺にとって本当に重要なことだ」 ──アレックス選手の妹のアライン・ペレイラ選手(※元GLORYスーパーバンタム級王座挑戦者、LFAフライ級1勝2敗)が、来週ソルトレイクシティで戦う(『Karate Combat 50』)と聞きましたが、あなたもそこまで滞在する予定でしょうか。 「もちろん、妹の試合はすごく楽しみだよ。彼女は準備万端だし、とても強い。彼女は標高の高い場所で4週間のトレーニングをすることになる。今日も彼女は4ラウンドのスパーをこなしたけど、試合は3ラウンドだけだから、準備ができていると思うよ」 ──10月8日にキックボクシング時代のライバルであるアルチョム・ヴァヒトフ(GLORYでペレイラと1勝1敗。現在MMA2勝1敗)が、ダナ・ホワイトのコンテンダーシリーズでUFCの契約をかけた試合をする。UFCで彼と3度目の試合をするのは楽しみ? 「キックボクシングのことはもうフォローしていないから、彼が今どうしているかはよく分からない。だから、彼の潜在能力についても何とも言えないけど、今の俺とUFCで戦うのは、彼にとって厳しいだろうね。よくある誤解なんだけど、俺やイズラエル・ アデサニヤみたいに、簡単にキックボクシングからMMAに転向できると思ってる人がいる。でも、そういったキックボクサーは俺でもなければ、アデサニヤでもない。そこにたどり着くまでのストーリーを見ればわかるはずだ」