フラワーカンパニーズ、2度目の武道館公演に向けてインタビュー「前回の感謝もあるし、今回は素っ裸で武道館に行く」
――ライブの調子がいいというのは、やはり大前提としてあるということですよね。 鈴木 調子がいいかどうかは分からないけど、周りからはそう言われるし、何より楽しくなっているんだよ。ライブ、前は楽しみ! という感じではなかった。ライブがはじまっちゃえばいいんだけど、はじまる前は憂鬱で仕方がなかった。緊張もあるしね。ライブが楽しみになってきているのは、20代以降初めてかもしれない。ずっと辛かったから。 ――その変化は、何故起きたのだと思いますか? 鈴木 声の心配をあまりしなくなってきたからかな。前は年がら年中ずーっと「声が出るか出ないか」ばかり考えていたのが、イヤモニをするようになったりして、楽に声を出せるようになってきた。もっと言うと、今はもう「出なくてもしょうがないじゃん」とも思うようになったかな。「もういいだろ」って。来たお客さんには申し訳ないけど、出なかったら出なかったで、それはそれでいいかって。考え方が変わってきたと思う。お客さんは声だけを聴きに来ているわけじゃない、全体を聴きに来ているわけだし。そういう意味で言うと、俺が調子いいかどうかは置いといたとしても、バンドが今、強い状態にあるのは分かるよ。 ――前回の武道館の際は、前年に怒髪天の武道館公演があったこともあり、フラカンと近しい世代のバンドが武道館に向かう大きなムードがありましたよね。それに、フラカン初の武道館でワンマンということで、ライブハウスやバンド、それにファンの方々の間でも「盛り上げていこう」という空気が強くあったと思うんです。今回の武道館では、現時点ではどのように本番に向かっていくことが理想だと思いますか? マエカワ 2度目の武道館を発表した後、友達のバンドマンや周りの人たちがたくさん「おめでとう。応援するからね」と言ってくれて。でも、1回目と2回目は全然違うと思うんだよ。世間のムードとして「フラカンの武道館をなんとかして成功させなきゃ!」と思ってくれたとしても、それが前回のように形になるとも俺は思っていなくて。だからその分、自分たちがある意味前回以上になんとか頑張らなきゃいけないし、自分たちで考えなきゃいけないことは増えると思う。10年前とはまた違う感じになるだろうね。 竹安 2度目の武道館が決まってから、前回の武道館のときのパンフレットを改めて見返したんだけど、そこにはいろんな人たちからもらったメッセージが載っていたり、ファンの方々が頑張ってくれたことが書いてあったりして。改めて、おびただしい数の人を巻き込んで成功した武道館だったんだなと思ったんだけど、それを見ていると……なんというか、恥ずかしくなってきて(苦笑)。もちろん、あの頃はなりふり構わずやっていたんだけどね。今見ると恥ずかしさもあった。ただ、最近お客さんに声を掛けてもらうと、「前回の武道館のときはまだファンじゃなかったんです」という人たちもいたりするんだよ。当たり前のことなんだけど、「そっか、そういう人たちもいるんだ」と思うんだよね。 マエカワ 多いよね、そういう人も。2度目の武道館を発表してから、「前回は子供が小さくて行けなかったんです」とか「前回は仕事が忙しくて行けなかったんです」とか、そういう人たちの意見も聞くしね。きっとそういう人たちはたくさんいると思う。 竹安 近いスタッフの中にも「私、前回の武道館は行っていないんです」という人もいるし。そういう人たちの為にも、今回の武道館はしっかりやらないといけないんだと思っている。今回は「なんでもいいから来てくれ」という感じではなくて、前回に比べて多少動員が下がってもいいから、その分、密度が濃い武道館にしなきゃいけないなと思うんだよね。 鈴木 そうだね。前回の感謝もあるし、今回は素っ裸で武道館に行く。もちろん自分たちだけじゃないよ。スタッフもみんなで行くんだけど、前回は着込んだ服があったから。今回はそれを脱いで、素っ裸で行く。そう思うと、楽しめそうだなと思うんだよね。前回は正直、武道館が決まってから楽しみよりも不安の方が大きかった。でも今は、楽しみの方が大きいかな。 マエカワ 前の武道館では、SEの前に怒髪天が作ってくれた応援歌が流れたんだよ。最近、久しぶりにあのときの映像を見たんだけど、怒髪天が自分たちのために曲を作ってレコーディングまでしてくれるなんて、本来はあり得ない話なんだよね。前回は本当におんぶにだっこだったというか。周りのバンドのみんなやお客さん、スタッフに「行け! 行け!」と背中を押してもらって、それでワッショイワッショイやってもらったから大成功したわけで。今回ももちろん応援してもらいたいけど、まずはこの4人で、素っ裸で、なにをやれるかだろうね。そこからはじまる感じだと思う。あと、俺らが武道館をやったら、他の人が何か思うかもしれないっていうのはあるね。 鈴木 そうだね。こっちから引っ張れるかもしれない。引っ張ってもらってばっかりだから。 マエカワ 俺たちがもう1回武道館をやるのを見て、いろんな人たちに「よし、やらなきゃな」と思ってもらうことができたらいいなと思う。それはバンド仲間だけじゃなくて、お客さんも、「フラカンがやったらな、自分もなにかやってみよう」と思ってくれるかもしれない。そう思うと、やる意味はいくらでもある武道館だと思う。