フラワーカンパニーズ、2度目の武道館公演に向けてインタビュー「前回の感謝もあるし、今回は素っ裸で武道館に行く」
――今年は3月~7月にかけて結成35周年ツアー『今が旬』を開催されて、その後は対バンツアーに入っていきましたが、サニーデイ・サービス、四星球、ピーズ、怒髪天、THE COLLECTORS、SCOOBIE DO、それに水戸ライトハウスとの共同企画では真心ブラザーズとも共演されて、世代や関係性的にも近しいバンドたちとの対バンが続いていましたよね。こうした対バンの場で感じられたことはありますか? 鈴木 対バン相手はどれも唯一無二の絶対的な個性を持ってサバイブしてきたバンドたちだからね。どのバンドもすごかったよ。単純にみんなかっこいいし、すごい刺激になる。そういうバンドと並んだときに、自分たちを見に来たお客さんが恥ずかしくならないライブをしたいと思ったかな。「フラカン、めちゃくちゃ劣ってるじゃん」と思われるのは嫌だから。自分たちのいいところを出したいなと思ってやってきた。それに、対バンで同世代のバンドとやったときに、「自分たちはこうやってきたんだ」と確認することもすごくあって。自分たちのいいところも見えるし、逆に対バン相手に対して「こういうバンドだから、生き残ってきたんだな」と感じることもあるし。エネルギーをもらえるんだよね。気持ちが活性化されるというか、鼓舞されるというか。 マエカワ 今年は35周年のワンマンツアーの間に、同世代のかっこいい人たちとやれたらいいなと思って声を掛けたんだけど、みんな「やる」と言ってくれて。鈴木が言ったように、そこでいろんな確認ができた感覚はあったな。自分たちのことって、なかなか自分では分からないから。今回の対バンツアーで、「こんなかっこいい人たちが、誘ったらライブに出てくれて、しかも、お客さんが楽しそうにしている」ということを確認すると、自分たちの今の状況も、自分たちの35年も、悪くないんだなと実感できる。 竹安 特に今回は短期間で対バンをやったから。そうなると「この人たちはこういうところがすごいんだ」ということが、すごく分かりやすいんだよね。だから勉強になるものも多かったなあ。ギュッと集中してできたことで、得るものは多かったと思うね。 小西 対バン相手とみんなでツインドラム、ツインギター、ツインベース、みたいな形でセッションをすることもありましたけど、かっこいい人たちと一緒にやると、何より楽しいんですよ。そこにはすごいエネルギーをもらえていると思いますね。 ――僕は近年、イベントでフラカンのライブを観る機会が何度かありましたが、今のフラカンのライブはすごいものになっている体感というのは自分の中にもあって。フラカンのライブは観る度に「新しいもの」という感じがするんです。その中で特に伺いたいのは、最近ライブで披露されている「ラッコ!ラッコ!ラッコ!」という曲のことで。鈴木さんの歌のテーマが新しいゾーンに入っている楽曲という感じがしたのですが、あの曲はどのようにして生まれた曲なのでしょうか? 鈴木 単純に、俺がラッコにハマっているから。今、一番歌いたい歌だよね。今一番自分がハマっているものを歌にしたら、ああなった。アルバムに向けて曲を作っている中でできたんだけど、「みんなが求めている歌ではないだろうな」と思ったから、「この曲は、レコーディングは置いておいて、ライブで1、2回やれたらいいです」というテンションで出したんだけど、「いいじゃん、これ」という感じ……だったよね? マエカワ うん(笑)。 鈴木 まあ、自分のことばかり歌ってきたからね。そういうものじゃないテーマを歌ってみたい、というのはあったかもね。いい歳こいて「自分自分」じゃないだろって。 マエカワ 裏を返せば、今の言葉で言うところの鈴木の「推し」を歌っているわけだから、鈴木の歌だと思うけどね。 鈴木 そうなんだけどね。私小説ばかり書いていても仕方がないから、ちょっと離れたいというのもあって。軽めに作ったら、すぐできちゃったんだよ。