伊藤詩織氏、日本人監督初の快挙「Black Box Diaries」が米国アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門ショートリスト入り
映像ジャーナリストの伊藤詩織氏による初監督映画「Black Box Diaries」が、第97回米アカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞のノミネート作を決定するためのショートリストに選出されたことが18日、発表された。 日本人監督が同賞のショートリストに選出されることは史上初の快挙。最終的なノミネーションは、アカデミー賞の会員による投票により、現地時間の来年1月17日に発表予定で授賞式は3月2日に行われる。同作は伊藤監督自身が被害にあった性的暴行の調査を自ら記録したドキュメンタリー映画。2017年に伊藤監督が元テレビ局員の記者からの暴行被害を訴えた記者会見直後から約6年間の活動を克明につづっている。 今年1月に米国・サンダンス映画祭で行われた上映を手始めに、現時点までに50以上の映画祭での上映及び18個の賞を受賞。伊藤監督は「ドキュメンタリー界のアカデミー賞」とも称されるIDAドキュメンタリー賞では、新人監督賞を受賞。EU議会や英国国会などでも講演を実施。同作の賛同者が世界中に広がっている。 10月25日から米国、英国での公開がスタート。ほかにフランス、ドイツ、スペイン、カナダ、台湾、香港、シンガポール、タイ、インドネシアなど世界30か所以上の国と地域での配給が決定している。日本国内での公開は未定になっている。 ◆伊藤 詩織(いとう・しおり)1989年生まれ。映像ジャーナリスト。BBC、アルジャジーラ、エコノミストなど、主に海外メディアで映像ニュースやドキュメンタリーを発信。2020年、米TIME誌の世界で最も影響力のある100人に選出。性暴力被害についてのノンフィクション「Black Box」(文藝春秋社)は本屋大賞ノンフィクション部門にノミネート。第7回自由報道協会賞では大賞を受賞し、9か国語/地域で翻訳される。2019年、ニューズウィーク日本版の「世界が尊敬する日本人100」に選出された。
報知新聞社