広瀬アリス「メンタルやられすぎた」 今は平和で明るい恋愛がしたい
“明るく爽やかな笑顔”がトレードマークの女優・広瀬アリス。妹すずとともに美人姉妹としてメディアに露出することも多く、そのパブリックイメージは前述したように“陽”が強く先行する。そんな彼女が映画『L-エル-』では、恋人からのDVや、信じていた相手からの裏切りなど、波乱万丈な女性の生涯を体当たりで熱演した。同世代には注目を集める女優たちが多数いるが、妹すずを含め「周囲は気にしない」という広瀬の素顔に迫る。
女優として引き出しを増やしたい
女優として活躍中の広瀬。目鼻立ちのはっきりしたルックスと、バラエティー番組などで見せる快活なイメージは、若い女性を中心に憧れの存在として多くの支持を得ている。そんなパブリックイメージに「確かに私自身もこれまでどんな役が多かったかを振り返ると、等身大の女の子が断然多かったです」と笑顔を見せる。 事務所に所属して約10年。女優という仕事を続けていくうえで広瀬が一番重視しているのが「引き出しを増やしていくこと」だという。その意味で、本作は広瀬にとって非常にチャレンジングな作品となった。広瀬が演じたエルという女性は、初めて心を許した恋人のDVに悩み、拾われたキャバレーではショーガールに扮し、さらに信じた相手の男の子を宿すが、あっさりと捨てられるなど非常にハードな人生を歩む。 「エルの心の芯にあるのは愛への執着だと思うんです。彼女の生い立ちがそうさせているのですが、ずっと愛を求めている。それは彼女が純粋で優しいがゆえの行動だと思うのですが、下手をすると軽い女と見られてしまうかもしれない。それだけは嫌だったんです。愛が欲しいけれどチャラチャラした印象を持たれないように演じること。そこが今回のチャレンジでした」
メンタルがやられすぎた撮影
根底に「愛への執着」という思いを持ちつつ、年代や出会った人物によって、さまざまな顔を見せる。同一人物の感情の変化を表現することは非常に高い演技力が求められる。広瀬がこだわっている“引き出しを増やす”という意味ではもってこいの作品のように感じる。 「撮影がハードだったこともあり、精神的にも肉体的にも追い詰められた現場でした。でもその分、自分の神経が研ぎ澄まされる瞬間が何度もありました。自分の心臓の音すら雑音に感じることもあったんです。今までになかった経験ですし、こういう感覚をもっと大事にしていきたいなって強く思いました」。 こうした経験は女優として新たな気づきにもなったという。 「プレッシャーもあったのですが、体力的にもメンタル的にもハードで、特にメンタルはやられすぎてボロボロになったんです。追い詰められた状況のなか、演技でそれを昇華していくという方法を見つけられたのかな……と。事務所に入って10年たつのですが、やっとお芝居の表現方法が分かったというか、これからが楽しみです」