米国株に慎重になるヘッジファンド、強気のストラテジストと対照的
(ブルームバーグ): ウォール街のストラテジストがS&P500種株価指数のターゲットを相次ぎ引き上げているのとは対照的に、ヘッジファンドは株式への慎重姿勢を強めている。米金融当局が利下げに消極的であることに加え、経済指標の弱含みや株高の裾野がなお広がりを欠くことが背景にある。
ゴールドマン・サックス・グループのプライムブローカレッジ部門のリポートによると、ヘッジファンドは市場全般へのエクスポージャーを測るロングとショートのグロスレバレッジを2022年3月以来の大幅減とした。この動きはいわゆるスマートマネーが慎重なスタンスを強めていることを示しているとリポートは述べている。
ヘッジファンドは先週、インデックスファンドや上場投資信託(ETF)などのマクロ商品を中心に米国株を売り越した。一方で、個別銘柄については6週間ぶりに買い越しており、運用マネジャーが選別色を強めている兆候を示唆している。
リポートでは「市場は米成長を楽観的に織り込んでおり、米国の個人消費が停滞する一定の根拠があると当社では考えている」と指摘。「ニュアンスが必要であり、より安い商品を購入するトレードダウンのリスクと低所得層の消費動向を最も懸念している」と述べた。
S&P500種は今年上期に14%値上がりし、5400を上回る最高値近辺で推移している。こうした中、ウォール街のストラテジストの間では、年末時点のS&P500種ターゲットを上方修正する動きが相次いでおり、最近ではエバコアISIのジュリアン・エマニュエル氏が6000に引き上げた。これはブルームバーグが追跡している主要ストラテジストの中で最も高い水準だ。
エバコア、S&P500種の年末目標を6000に引き上げ-ウォール街最高
もっとも、ヘッジファンドはここからの上値余地については懐疑的なもようだ。米金融当局はインフレが依然として根強いことから、年内の利下げが投資家の想定よりも少なくなる可能性を示唆している。また世界各地で地政学的リスクがくすぶっており、経済成長に関しては不透明感が根強い。