鬼才シャマランの最新作『トラップ』。罠にハメられた殺人鬼、緊張感がイイ
鬼才、M・ナイト・シャマラン監督の最新作。 M・ナイト・シャマラン監督が脚本・監督を務めた映画『Trap(原題)』。アメリカで公開になっています。どんな話かと言うと、娘をコンサートに連れて行った男性がコンサート自体が有名な殺人犯「ブッチャー」を捕まえるための巧妙な罠であることを知ります。
その殺人犯とは?
父親役のジョシュ・ハートネット演じるクーパーは、実は彼こそが残忍な連続殺人犯「ブッチャー」だったのです。そしてクーパー/ブッチャーは、娘に自分が殺人犯だと気づかれることなく、この大掛かりな仕込みの罠から逃げ出さなくてはいけません。冒頭から緊張感いっぱいの予告編をどうぞ! 主役のジョシュ・ハートネットはキャリアの中でもトップクラスの演技を見せてくれています。場面ごとに、クーパーが相反する二つの側面の間で変貌していく様子が観客の私たちにもひしひしと伝わってきます。大きな緊張感が生み出され、こちらまで緊張感いっぱいになってしまいます。さっさと敵を殺してしまいたいと思いつつも、娘(アリエル・ドノヒュー)にとってクールな父親でいたいという気持ちでいつも通りに動けないもどかしさも感じ取れます。
シャラマン監督の娘も登場
舞台はポップスターのレディ・レイヴンのコンサート会場。この架空のスターを演じているのは、実在のアーティストであるサレカ・シャマランさんです。監督と苗字が同じでピンと来た方、そうなんです。シャラマン監督の娘さんです。父親とともにこの映画の企画を練り、映画のためにすべての音楽を書き下ろしたそうです。とは言うものの、良くも悪くも、曲がキャッチーではなく単調なので音楽の方に頭が持っていかれることもなく、ちょうどいい塩梅になっています。 また、映画の舞台がずっとコンサート会場内というのはプラスとマイナス面があります。シャマラン監督は会場のあらゆる場所が、ブッチャーを罠にかける場所になると観客が感じるようにしています。でもブッチャーが屋上にいようと、ロッカールームにいようと、売店で買い物をしていようと、廊下を歩いていようと、やっぱり全部同じコンサート会場内なので、すべてが似通って感じられるのも事実かも。 見ている観客としては、ブッチャーが捕まることを望みつつも、どうやって閉じ込められたコンサート会場から逃げられるかを見たいと思うようになってきます。ブッチャーが映画の20分や30分で捕まることはないとわかっているので、ここで捕まるの?外へ逃げて捕まるの?それとも逃げ切るの?と結末が見えないのもおもしろいところかなと思います。