「安い土地を買って高い建物を建てる」→節税効果はMAXだが…孫の代まで迷惑が降りかかる「トラブルの種」に。いったいなぜ?【不動産投資のプロが解説】
相続税評価が時価を上回っても心配はない
続いて、相続税というもう1つの軸について見ていきます。 不動産投資による節税を、「相続税を減らす」という方向で考えている人たちの中には、「路線価は低いが(=相続税評価は低いが)、時価が高い」土地を狙う人もいます。相続税評価と時価に乖離があればあるほど、節税効果が高いからです。 もう少しかみ砕いて言うと、 「時価は2億円もするけれど、路線価相続税評価としては1億円しかないから、同じ相続財産として残すなら現金2億円を使って評価1億円の土地を買った方がいい」 という考え方です。 さらに借り入れをして土地を購入すれば、節税効果はよりいっそう高まります。たしかに、こうしたやり方で高い節税効果を見込めるケースもあります。それでも、相続税評価の低い土地は路線価の低い土地であるという事実は、どこまでも付きまといます。 節税を目的としたばかりにわざわざ路線価の低い土地を購入する。それ自体にどのような意味があるのかと言われれば、私自身は答えに窮します。 当然のことですが、価値あるものには押しなべて高い値段が付きます。良い土地とはやはり、路線価評価が高い資産価値が高いものなのです。そもそも、土地の相続税評価は時価の8掛けで計算します。 節税に関してはそれで十分と考え、収入に応じてしかるべき税金を支払い、価値のある土地を手に入れて、社会にとって良い形で運用したうえで子孫に残していくという考え方が、どこまでも王道であると私は確信しています。 さらに言えば、子孫に残すことを考えたときには、相続税評価と時価が逆転し、むしろ相続税評価の方が高い土地でもよいくらいだと思っています。 繰り返しにはなりますが、目先の節税だけを最優先に考えて、相続税評価の低い土地を狙っていくと、「価値のない土地を高く買う」というおかしな事態が起きてしまいます。言葉を選ばずに言えば、「結局のところ、損をしている」ことになります。 残されても嬉しくない、むしろ処分に困るような土地を子孫に残して迷惑をかけるのは、誰にとっても望むことではないと考える次第です。