【平成から次代へ オカルトどう変わる】雑誌『ムー』生き残るノウハウ 三上丈晴編集長に聞く
オカルトをはじめ、不思議な現象などを知的エンターテインメントとして扱う雑誌『ムー』(学研プラス)が来年、創刊40周年を迎える。現在のようなネット環境も整っていなかったアナログ時代の1979年に産声を上げ、現在も急速にデジタル化する社会とともに刊行を続けている。かつては丑三つ時の暗闇に姿を現した幽霊も、いまやスマホに宿る時代。不思議な世界は、どこに存在し得るのか。2005年から同誌編集長を務める三上丈晴(みかみ・たけはる)氏に聞いた。
学年誌“コース”の編集部が中高生向けに作った『ムー』
「不思議な世界の本質は、昔から変わっていないと思うんです。UFOも心霊現象も、何一つ答えが出ないまま続いている。創刊から現在まで、世界的にもムー的なこと、ダ・ヴィンチ・コードだとかノストラダムスの1999年だとか、そういう波が何度もあって盛り上がってきたかなと。科学技術が進歩するにしたがい廃れるのではなく、超能力や生まれ変わりなど一部のジャンルにおいてはむしろ、技術が発達した今日のほうが理解しやすくなっている面もあると思います」 三上氏が少年、青年期を過ごした70年代、80年代は今よりのどかな時代だった。 「コンプライアンスも厳しくなくて、テレビでも矢追純一さんのUFOやネッシーの特番があり、あるいは昼のワイドショーでも『あなたの知らない世界』などで心霊写真がテレビに大写しになっていましたよね。学校では心霊写真集とかを誰かが教室に持ってきて休み時間に人だかりになる、そういう時代でしたから、子ども時代すでに不思議な世界への関心はありました」 大人になり、学研に入社したその年のうちに『歴史群像』を経て『ムー』の編集部に配属された。 「もともと『高1コース』などを作っていた学年誌の編集部が『ムー』を作り始めたんです。だから当初は中高生向けで、読者ページなんかはペンパル募集とかイラストコーナーとか、まさに学年誌の香りが残っていた。読者も、創刊当時に中高生だった方がそのまま持ち上がってきているんで、40代、50代の方が多い。それに合わせて内容も、大人の愛読に耐えられるものにしようと、マニア度もレベルアップしてきました」