サンフレッチェ広島レジーナはなぜ連覇を達成できたのか? エースの上野真実が語った「今日の結果につながった」こと【コラム】
2024/25のWEリーグクラシエカップ決勝、サンフレッチェ広島レジーナ対INAC神戸レオネッサが29日に国立競技場で行われ、1-0でS広島Rが勝利、前回大会に続いて2連覇を達成した。この試合で決勝点を決めたエースの上野真実は、攻撃面はもちろん、守備面でもチームに貢献する姿を何度も見せてくれた。(取材・文:石田達也) 【一覧表】女子サッカー最新FIFAランキング。なでしこジャパンの順位は?
●1週間前の敗戦のリベンジに挑んだS広島R
WEリーグクラシエカップ2連覇を目指すサンフレッチェ広島レジーナと今シーズン三冠を目指すINAC神戸レオネッサが国立競技場で対戦。最強女王の称号を賭けた頂上決戦はWEリーグ公式戦での最多入場者数となる21,524人もの観衆を集めた。 この両者は1週間前の皇后杯JFA第46回全日本女子サッカー選手権大会準々決勝でも顔を合わせており、I神戸が1-0で勝利。今回のクラシエカップ決勝はS広島Rにとって、借りを返すことが重要なタスクでもあった。 ただ1週間で同じ相手と2度対戦することは、お互いに手の内を知っているため難しい一面がある。「強度高くボールを奪いながら前に攻めていく姿勢を見せよう」と吉田恵監督に鼓舞されたチームは前からボールに強く行くことを選択しプレーする。 そのけん引役となったのが前線の一角を務めたMF上野真実だ。「先制点を獲られないことと、前半は粘り強く守備をすること、あとは前から守備をすることをチーム全員で共有しました」と、相手の起点を潰し、そこから切り替えて前に圧力をかけ続ける姿勢を見せると、33分に見せ場がやってくる。
●「上手く表現できた」。吉田監督が評価したこの試合のポイントとは
左サイドのスペースにMF柳瀬楓菜が侵入するとペナルティーエリア中央にパスを送る。そしてFW中嶋淑乃が相手4人に囲まれながらもボールキープ。僅かなスペースにパスを送ると、走り込んだ上野が反転し左足を振った。相手に当たりディフレクションしたボールはゴールキーパーの逆を突く形で先制のネットを揺らした。 「ボールが来た時には迷わず打とうという気持ちでした。相手に当たりましたがゴールにつながってくれたので良かったと思います」とコメント。そして「みんながつないでくれたボールだったので結果になったのは嬉しいです」と続けた。 左右へのスライドやアプローチのタイミングを計り、I神戸の強みであるサイド攻撃を防ぐ。個の力とパワーに押されながらも1-0でハーフタイムを迎えた。 「中を閉めた状態で使わせず、相手が外でボールを動かしている中で、良いタイミングでアプローチをしようと。今までもやってきたことが上手く表現できたと思います」(吉田監督)。その中でも右サイドのDF守屋都弥の強力な突破に対し、組織で対応し隙を与えなかった。 後半に入るとビハインドを背負うI神戸が選手を入れ替え、ロングボールとサイド攻撃を強化したことでS広島Rが自陣に押し込まれる時間が続く。50分には、ボックス内でボレーシュートを打たれるもGK木稲瑠那が右足1本で止める。 するとS広島Rは、中盤の笠原綺乃を下げ、センターバックの中村楓を投入し[4-1-4-1]から[5-4-1]へと布陣を変更。吉田監督はシステム変更の理由をこう挙げた。