2025年宮城の選挙 4月には石巻、登米、栗原、東松島4市長選
2025年の宮城県内の自治体選挙は知事選と仙台市長選のほか、4市2町の首長選と4市5町の議員選、議員補選が行われる。首長選で選挙戦の構図が固まったのは栗原市のみ。他でも選挙戦になれば、各自治体が避けられない人口減少といった課題に対して、どう地域活性化に向けた独自策を打ち出せるかなどが争点となりそうだ。 【図表】2025年に県内で実施される首長選、議員選 ■栗原市長選 現・前の対決か ◆石巻 現職の斎藤正美氏(70)は昨年の市議会12月定例会一般質問で、人口減少対策が道半ばとして「誇りが持てる街づくりをオール市民で実現するため、改めて市政を担わせていただきたい」と再選を目指して立候補する意思を表明した。 斎藤氏は2021年、新人4人の争いを制して初当選した。東日本大震災からの復興事業を進め、子ども医療費無償化の対象を18歳まで拡大するなど子育て支援に注力する。 被災者の心の復興やコミュニティーの再構築、復興事業で整備した施設の維持管理費などがのしかかる市の財政健全化、周縁部の旧6町の地域振興も課題となっている。 斎藤氏以外に、候補者擁立に向けた動きがある。 ◆登米 2期目の熊谷盛広氏(73)は3選を目指すか態度を明らかにしておらず、「任期を全うする。対応は熟慮中」と答えるにとどまる。 熊谷氏は2021年の市長選で無投票再選。市中心部に総事業費約147億6350万円の複合施設「地域交流センター(仮称)」の整備計画を進める。 コロナウイルスワクチンの集団接種では、接種会場と日時をはがきで通知し、予約なしの接種につなげた。病院事業の改革では、市立3病院の機能分散化・連携強化で病床数を改め、21~23年度決算で単年度黒字に引き上げた。 他の候補者の動きは現段階で表面化していないが、複合施設建設反対を掲げる候補を擁立できるかが焦点となっている。 ◆栗原 再選を目指す現職の佐藤智氏(67)と前市長の千葉健司氏(68)が立候補を表明した。他に立候補者が名乗り出なければ、2017、21年の選挙に続いて3回連続で中学、高校の同級生だった両氏の一騎打ちとなる。 佐藤氏は昨年の市議会12月定例会で、小学校への25人学級導入や小中学校の給食費無償化などの実績を強調した上で市政の継続を訴えた。JRくりこま高原駅周辺の開発や産業用地の整備を重点課題に挙げる。 千葉氏は昨年9月に記者会見し「市民から栗原の未来が見えないという切実な言葉をもらった」と佐藤氏の市政運営を批判。教育や医療福祉、産業振興、子育て支援などに力を入れる考えを示す。 ◆東松島 2期目の現職渥美巌氏(77)は取材に「任期を全うしたい」と態度を明らかにしていないが、立候補が有力視されている。今月にも態度を表明する見込み。他に立候補の動きは表面化していない。 渥美氏は前回2021年、無投票で再選された。県議時代に培った県や国とのパイプを生かし、三陸沿岸道上り線の矢本パーキングエリア隣接地に道の駅「東松島」を開設した。東北電力女川原発の核燃料税交付金を巡っても、5~30キロ圏の緊急防護措置区域に入る5市町への交付拡大を実現した。 奥松島など地域の自然を生かした観光振興策にも力を入れる。今後は子育て支援、産業振興による人口減少対策が主な課題となる。 ■町長選は大郷、南三陸 ◆大郷 通算5期目の現職田中学氏(78)は態度を明らかにしていない。スマートスポーツパーク(SSP)構想について「結論が出る前に辞めるわけにはいかない」と述べており、6選に向けた立候補が有力視される。 現時点では対立候補を擁立する動きは表面化していない。21年の前回町長選は無投票だったが、現在はSSP構想を巡って議会との対立が続いており、対抗馬の動向が注目される。 ◆南三陸 5期目の現職佐藤仁氏(73)は任期満了まで1年となった昨年11月の定例記者会見で次期選挙について問われた際、態度を明らかにしなかった。現段階で他に立候補の動きはない。 旧志津川町時代から町長を務める佐藤氏は、東日本大震災後3回の選挙で対立候補を退け、復興を主導。懸案だった旧防災対策庁舎の町有化と保存に道筋を付けたのを節目に、勇退するとの見方が強まっている。 ■議員選は4市5町で予定 市議選は登米、栗原、東松島の3市に加え、石巻の市議補選(欠員2)がいずれも4月20日告示、27日投開票で行われる。町議選は加美、柴田、大河原、南三陸、松島。定数は栗原が21と3減となり、登米が24、東松島が16、加美が15でいずれも2減となる。
河北新報