二回、戸柱の逆転3点二塁打に沸き返るDeNAベンチ（撮影・松永渉平）

「2024　JERA　クライマックスシリーズ（CS）　セ」は、レギュラーシーズン3位のDeNAが2位の阪神に10－3で大勝。対戦成績を2勝として、7年ぶり3度目のファイナルステージ進出を決めた。東克樹投手（28）が負傷離脱するなど不測の事態が重なった中、打線が15安打と爆発。戸柱恭孝捕手（34）が2安打5打点で火付け役となった。3位から日本シリーズまで進んだ2017年と同様の下克上を目指し、16日から東京ドームで始まるファイナルステージでペナントレースを制した巨人と対戦する。 戸柱は知っている。追う者の強さを。そして勢いを。大歓声が渦巻く敵地の甲子園で猛攻の口火を切り、球団初となるファーストステージ2連勝で突破へと導いた。殊勲の34歳は一致団結の勝利を強調した。 「僕だけの力じゃない。ストライクが来たら、みんなでいこうと。勝てて本当によかった」 打線が火を噴いたのは1点を先制された直後の二回。先頭の宮崎が放った左中間への二塁打が皮切りだった。戸柱は無死満塁から走者一掃の決勝二塁打を右中間へ運び4連打。4年ぶりの対戦だった高橋に早いカウントから襲いかかり、わずか7球で3点を奪い、牧の中前適時打で加点した。 実力者の左腕に対し、戸柱は打席で本塁に近づいて構え、内角を攻めにくくした。「普通じゃ打てない。僕がキャッチャーをしていたら近づいてくるバッターはすごく嫌」。捕手目線で攻略に一役買い、佐野の3ランなどで一挙6点を奪った七回にも2点二塁打を放ち、とどめを刺した。 ナインは結束を深めていた。CSを直前に控えた全体練習時には、普段はチームに帯同しないスカウトらも含めて全体ミーティングを行い、士気を高めた。就任4年目で初めてファーストステージを突破した三浦監督は「ベンチ裏のスタッフも同じテンションで戦えている。この流れをつなげていけるように」と視線を先に向けた。 12日に先発したエースの東が左太もも裏の違和感で戦線離脱。主軸の宮崎もこの日の七回に右脚をつり、途中交代した。それでも、ナインは動じなかった。牧は「張り詰めた空気の中でシーズン中には起こらないアクシデントが起こった」と受け止めつつ「本当に束になって倒すことができた」と胸を張った。 3位からのファイナルステージ進出は、日本シリーズまで勝ち上がった2017年と同じ。7年前も甲子園を舞台にしたファーストステージで阪神と激突し、第2戦では豪雨で泥まみれになりながら白星をつかんだ。当時2年目だった戸柱は「（経験者は）少なくなってきている。そういうメンバーで少しでも引っ張っていけたら」と決意を新たにした。