「キツイっす」選手たちから悲鳴も!オリックス岸田新監督が秋季キャンプで示した「土台づくり」【オリ熱コラム2024】
「今年は、オリックスは勝てなかった年でした。先輩たちは皆悔しい思いをして、目の色を変えてもう来年に向けてスタートしています。皆、その先輩たちを思い切って何も怖がることなく追い抜いてほしいと思います。グラウンドで全力でプレーしてください。 そしてオリックス、12球団を代表する選手に、スーパースターになれるように、練習を頑張ってください。グラウンドで大暴れしてください。本当に期待しています」 これはオリックスの岸田護新監督が、2025年度新人選手入団発表記者会見の冒頭挨拶で述べた言葉だ。ルーキーイヤーだからといって遠慮するなというのが岸田政権の一丁目一番地ということなのだろう。2021年からのリーグ3連覇、2022年の日本一とチームはここ数年で急成長を遂げてきたが、今シーズンは上位とかなり差をつけられた上での4位。“名将”中嶋聡前監督は「慣れが出てしまった」という言葉を残して職を辞した。 リーグ3連覇という歴史に残るような記録を打ち立てた中嶋監督の後を引き受けることとなった岸田監督にとって、プレッシャーが計り知れないものがあるかもしれない。だが、自身が引退時に残した「これからオリックスは強くなります」という名言が現実になったこともあり、あの「長い長いトンネル」には戻るまいという気持ちが人一倍強いのは明らか。 11月の高知秋季キャンプでは、複数の選手から「キツイっす」という言葉が聞かれた。中嶋監督はメジャー式の効率を重視するタイプだったが、岸田監督は「まずは土台づくりが必要」と、選手の底力が試されるような練習法を取り入れている。そこには自らも名門・履正社高で築いた“土台”があるのだろう。今季のように怪我人を乱発させないためにも、選手の身体をしっかり作って強くする必要があるという思いがあるのだろう。 チームプレーの面に関しても今年はミスが目立ったことから、ノックの数も多い。さらにバッティングでは「右打ちを意識させている」と細かい部分を徹底的に修正させていた。選手たちの取り組みについて、岸田監督は「チームでやるべきことを各々がやっている」と高く評価。「知恵を出し合いながら新しいメニューも取り入れている」という。 今年は山岡泰輔、若月健矢といった現役時代に一緒にプレーしたメンバーが、直訴して高知キャンプに参加した。「やっぱり本人たちもすごいやる気になってますし、引っ張っていかないといけない世代の子たちも当然来てますし、自ら行きたいっていう子もいますしね。やっぱりそういう前向きな気持ちを全面に出してやってくれてると思う」と心強さを口にした岸田監督。この秋の取り組みが自主トレを経て、来年2月の春季キャンプで発揮されるはずで、岸田流のキャンプの過ごし方にも大いに注目したい。 文⚫︎THE DIGEST取材班 写真⚫︎野口航志