斎藤知事と石丸伸二氏の「人を動かす話し方」、決定的な“共通点” 何が気持ちをかき立て、熱狂を生んだのか
また、支持者に対しては、対立候補の悪口を言わないことも共通しています。「常に批判ばかり」の野党スタイルを嫌う若い世代には、理路整然と話すように見える2人が、清廉で新鮮に映ったことでしょう。 特に、詰問調に迫ってくる記者に冷静に、時に冷ややかに答える姿は、理不尽な「いじめ」に耐え、反撃しているようにも見え、応援したくなる気持ちをかき立てられたり、痛快に感じたりするのかもしれません。 このように多くの共通点がある2人ですが、その政治家としてのスタイルはかなり異なります。
斎藤知事は、元官僚であり、良くも悪くも「政策」や「方針」にこだわり、自分を演出することにはそれほど関心がない。 一方の石丸氏はあえて、キャラを立て、「ジョーカー」「トリックスター」を確信犯的に演じることをいとわないスタイルです。 ■リーダーとしての「コミュ力の真価」は? オールドメディアと対決しても、SNSを味方につけることで支持を得た両氏の台頭に象徴されるように、企業や個人のコミュニケーションの手法や常識に「大きな地殻変動」が起きていることは間違いないようです。
時流を読み、注目される2人ですが、政治家として、リーダーとして、大切なのは「耳目を集めること」や「当選すること」だけではありません。 おふたりがどう実績をアピールしたところで、これまで周囲とのハレーションや反発、混乱を招いてきたことは事実。 ここから求められるのは、たんに大衆を扇動するだけではなく、周囲の人を説得し、動かし、実際に政策を実現する力。 リーダーとしての「コミュ力の真価」が問われていると言えるでしょう。
岡本 純子 :コミュニケーション戦略研究家・コミュ力伝道師