ノーベル賞受賞者が小学生に語る「チャンスに恋をしてもらう」ための秘けつ
■チャンスが「恋をする」相手とは 白川:アメリカの物理学者ジョセフ・ヘンリーはこんなことを言っています。「偉大な発見の種は、いつでも私たちの周りを漂っている。ただそれが根を下ろすのは、待ち構えている心だけである」と。フランスの科学者ルイ・パストゥールも「チャンスは、待ち構えた知性の持ち主だけに、恋をします」と言っています。いずれにしても、好奇心が旺盛で、認知力が強い。ということは、まだ知らないことや珍しいことについて「もっと知りたい」と心を動かされるということです。 ■「迎えに行く偶然」 白川:「どうすれば偶然に多く出会えるか」ということを研究した人がいます。彼によると、偶然には2種類あるそうです。ひとつは「やってくる偶然」。例えば棚からぼたもちが落ちる。まさに偶然だ。もうひとつ、「迎えに行く偶然」というのがあって、常識や決まりきった手順など、当たり前だと思っていることを改めて疑ってみる。そこから出てくるというわけです。そのためには何ごとにも積極的な行動をするということが必要。そのためには、できるだけ多くのことを学ぶ、たくさんの経験をする。何にでも興味を抱く。こういうことを努力する、ということですね。興味があって、それに没入することによって、ひとりでにわかってしまう。こういうことがあるんです。 これも、すごい話ですね。興味があって没入することによって、ひとりでにわかってしまう。「迎えに行く偶然」は、周りに漂っているのだ。それを受け止めるのは興味を持っている心。それを持った人が発見をしていく。そこにセレンディピティがあるということなんです。とてもわかりやすい。 ノーベル化学賞受賞者なんて雲の上の人と思っていましたが、88歳のおじいさんが、自分たちにもわかるような言葉で、科学への興味をどう持つのかということをしゃべった。子供たちはきっと、一生忘れないんじゃないかなと思いました。非常に刺激的な講義でした。「子ども大学だざいふ・ふくおか」は、福岡県内の小学4~6年生が対象。興味のある方はホームページをご覧ください。
■◎神戸金史(かんべ・かねぶみ) 1967年生まれ。毎日新聞入社直後に雲仙噴火災害に遭遇。福岡、東京の社会部で勤務した後、2005年にRKBに転職。ニュース報道やドキュメンタリー制作にあたってきた。やまゆり園障害者殺傷事件やヘイトスピーチを題材にしたドキュメンタリー最新作『リリアンの揺りかご』は各種プラットホームで有料配信中。
RKB毎日放送
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