おおたわ史絵さんが振り返る“母との絶縁” 罪悪感に押しつぶされそうになった日々、それでも「心を鬼にして目を背けるしかなかった」
最近、実家にあるのは悪い思い出ばかりではないと思えるように
その後、母は自宅で孤独に旅立った。遺体を最初に見つけたのは、母が好きなお寿司を持って久しぶりに実家を訪れたおおたわさんだった。 あれから10年以上経ったが、いまも自分が正しかったかどうかを自問する。 「当時は、“母にひどいことをしたな”という罪悪感がありましたが、長い時間が経過してその気持ちは年々和らいでいます。母が住んでいた実家の扉は不幸の扉のようで開けるのがすごく嫌だったけど、最近ようやく、実家にあるのは悪い思い出ばかりではないと思えるようになりました。 何が正しいのかはいまでもわからず、正解はないのかもしれない。けれど、当時の私は自分が生きていくために、心を鬼にして母から目を背けるしかなかった。それが最善策というよりは、それしか方法が見えませんでした」 【プロフィール】 おおたわ史絵(おおわた・ふみえ)/内科医・タレント。東京都出身。近年は少年院や刑務所受刑者たちの診療に携わる法務省矯正局医師として活動。著書に『プリズン・ドクター』『母を捨てるということ』などがある。 ※女性セブン2024年12月12日号
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