教諭停職取り消し、確定へ 取手中3自殺 茨城県教委が上告断念
2015年に茨城県取手市立中3年の女子生徒=当時(15)=がいじめを受け自殺した問題を巡り、不適切指導を理由に停職1カ月の懲戒処分を受けた当時担任の女性教諭への処分取り消しを茨城県に命じた東京高裁判決が15日、確定する。最高裁への上告期限となる14日、県教委が上告を断念すると発表した。 柳橋常喜県教育長は同日、「県として判決を真摯(しんし)に受け止め上告しないという判断をした」とし、「今後も引き続き、学校におけるいじめの未然防止を徹底していく」とのコメントを発表した。県は教諭の停職期間中の給与を補塡(ほてん)するとともに、同市教委や教員と相談して今後の処遇を決めるという。 この問題で、女性教諭は22年3月、水戸地裁に提訴した。裁判では、生徒への保健室での指導や、アルバムに書き込まれた内容への対応など6項目で、教諭に非違行為があったかや懲戒事由に該当するかが争われた。 24年1月の地裁判決は、教諭側の訴えを認め、県に処分の取り消しを命じた。県側が東京高裁に控訴。同高裁は10月31日、「保健室での指導が生徒の自殺の引き金となる不適切なものだったとは認め難い」などとし、一審水戸地裁判決を支持。県側の控訴を棄却した。 女性教諭は「改めて、お亡くなりになった生徒のご冥福をお祈りします。県が上告を断念したと知り、安堵(あんど)している」とコメント。教諭の夫(61)は「妻は長い間、誹謗(ひぼう)中傷に耐えてきた。不正確な情報を流したことについて、県知事や県教育長、取手市長・副市長らに文書による謝罪を求めたい」と話した。
茨城新聞社