ある公立大学職員の告発!あまりにも酷い大学経営が「学生のキャリア育成」を妨害している
写真:現代ビジネス
『キャリア妨害』(東京図書出版 2011年5月刊行)という面白い本がある。サブタイトルに「ある公立大学のキャリア支援室での経験」とある。読めば、横浜市立大学であることがすぐに分かる。 大学経営が戦略性に欠け、杜撰で、そればかりか人間性にも問題があるような教職員が跋扈し、その結果、本来ならば、若い学生が自らのキャリアを磨く場であるはずの大学が、学生のキャリア育成を妨害している実態を保護者や住民らに訴えるための書である。 本書の中では、「前例主義」、「形式主義」、「性悪説」、「人件費はタダ」、「コスト意識ゼロ」という5つのキーワードから、大学運営の実態がいかに腐敗し、堕落しているかについて具体的な事例やエピソードを豊富に掲げて示されている。 著者は菊地達昭氏(61)。1973年、北海道大学を卒業後、NECに入社し、主に人事勤労部門で32年間務めた。約5年間の米国法人での勤務経験がある国際派でもある。 2005年にNECを退職し、その経験を買われて横浜市立大学に転職。キャリア支援の責任者として、学生の就職支援などキャリア開発に民間企業の発想を採り入れる改革を行った。2011年3月に同大を退職し、現在は他の大学で非常勤講師をしている。 本書を読むと、大学の教職員集団は、規律や社会常識が働かない「無法地帯」「犯罪者集団」を構成しているのではないかと改めて感じるほどだ。現に横浜市立大学ではとんでもない事件が過去に起こっている。 同大は2011年7月29日、医学部教授を学生に対するパワハラで3ヵ月の停職にすると発表したのだ。その内容が凄まじい。朝日新聞や東京新聞の当時の報道によると、2月にあった期末試験の会場で、その教授は学生に対して「ストーカー、犯罪者」などと発言し、試験後、教授室で、土下座させて頭を踏みつけ、頭を丸刈りにするように求めたという。 その教授は男子学生がストーカーの加害者だと一方的に思い込んでいたという。頭を踏みつけるとは尋常な対応ではない。学生は精神的な苦痛を受けたとして、損害賠償請求の裁判を2011年6月に起こした。
本文:4,879文字
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井上 久男