「使命感で現場が奮い立った」羽田の飛行機炎上、ヒーローはJALだけじゃない JR、ANA、スカイマーク…ライバルが交通インフラを支えていた
「一番話したいのは、乗客を全員無事に脱出させたJALの客室乗務員のすごさです。ライバルとは言われるが、同じ安全を最優先にするものとして、自分たちもより実践力を養わなければと改めて感じました」 ▽「無我夢中だった」 羽田の滑走路上では事故の直後、JALの「真のライバル」とも言えるANAのスタッフ30人が乗客救出を支援していた。 全日空広報部によると、顛末はこうだ。 事故が起きたのは羽田空港第2ターミナル側のC滑走路上。第2ターミナル側は主に全日空が使用している。炎上した機体の最も近くにいたのは、大館能代空港(秋田)から到着し、次に岩国空港(山口)に向かうまでの準備のために駐機していたANA機だった。 滑走路は既に日が落ち、寒くて暗い広大なエリアだ。ANA機からの貨物の積み降ろしなど地上業務をしていたスタッフらは、事故を目の当たりにし、上司に告げた。「持ち場を離れて様子を見に行っても良いか」
許可を得て近づくと、事故機から脱出した乗客約10人がいる。すぐに消防から指示された集合場所へと誘導した。 その中で、数名の人がトイレの使用を希望。整備士はすぐに近くにあった機体の電源を入れ、トイレを使える状態にした上で案内した。 脱出客はその後も順次、バスで空港内に移動していく。最後のバスが出た後、その場にいた事故機のクルーやJALのスタッフから感謝の言葉を伝えられたという。 ANAのスタッフたちは当時をこう振り返った。「無我夢中だった」「どこの航空会社のお客さまかは関係ない。とにかく救助しなくては」。広報担当者も「あの状況を目にすれば、乗客のことだけを考えて行動するのは当然だ」 ▽自然災害の備えが奏功 事故で羽田が機能を停止した時、航空各社は欠航や行き先変更といった対応を迫られた。スカイマークもその一つ。新千歳発羽田行きの2便が目的地変更となり、茨城空港にそれぞれ18時32分と同38分に到着した。乗客は計約350人。