「使命感で現場が奮い立った」羽田の飛行機炎上、ヒーローはJALだけじゃない JR、ANA、スカイマーク…ライバルが交通インフラを支えていた
さらに車両清掃のためにグループ会社にも連絡。ホームなどで安全を確認するために、通過する駅も含めた全ての駅にも事前連絡を急いだ。 そして事故の一報から1時間半がたったころ、指令所にこんな声が響き渡った。 「やるぞ!」 2日の追加臨は東京~新大阪の「のぞみ」上下1本ずつで、東京発21時42分発と新大阪発21時50分。いずれも終点到着は午前0時を回る。 鉄道に少し詳しい人であれば、これがいかに無理をしてできたものか分かる。新幹線は本来、最終列車が午前0時より前に終点に到着する。夜間の保守点検作業のための時間を確保しなければならないからだ。その「無理」を曲げた。 「使命を帯びた列車なので、終電後の追加というまれなケースになりました」 結局、新大阪発の追加臨には約230人が乗車。この人たちが東京に到着しても乗り継げる電車はほぼない。それを想定し、「列車ホテル」とも呼ばれる休憩用列車として翌朝まで駅に停車させた。
▽「一人でも多く乗せたい」 翌3日は上りのピークと想定された日だったが、ここでも4本を追加。結局、追加臨は羽田事故の影響がある程度収まった7日まで設定された。 SNSでは、JR東海の対応をたたえる声が次々に上がった。「昨夜の臨時列車に救われた」「過密ダイヤの中で臨時列車を差し込めるって安全性と安定性がさらに際立つ」 こんな投稿もあった。「のぞみは年末年始全車指定席って言ってたのに整合性が…」「のぞみは全車指定席になったのに、普通車『全車自由席』が爆誕するとは」。JR東海は今回の年末年始から「のぞみ全車指定席」を導入していた。それでも、2~5日の追加臨だけは「全車自由席」とした。 古屋さんが意図を説明する。「こういう状況で設定した列車なので、一人でも多く乗せたかった」。SNSでの称賛について尋ねると「使命と声高に言うつもりはないし、制約がある中でやるべきことをしただけ」と語った上でJALをたたえた。