「長男にはマンション、次男には預貯金を」50代・仲良し兄弟の仲を引き裂いた「遺言書」…父の善意が仇となったワケ【不動産鑑定士・行政書士が解説】
妻の3回忌。飲みに行った席で、早速言い争いに
想定外だった。まさか、ケンカになるなんて……長く離れて暮らしていたから、心の距離もあったかもしれない。 母の3回忌で、皆でお墓参りをした後、久しぶりに親子3人で居酒屋へ飲みに行き、初めて息子兄弟に遺言の話しをした。すると、早速ケンカがはじまった。 次男は「マンションはもっと高いはず。母の面倒を見たからと言って、差が大きすぎる。自分も子どもにお金がかかる時期だし、少しでも多く必要だ」と主張。長男は「うちも子どもがまだ高校生と大学生でお金がかかる。それに、お前は母が亡くなるまでこちらに全然戻ってこなかったじゃないか」と反論し、お互いさらに不満が高まった。 長男が売却すればマンションの価格も明確になるが、「父さんが住んでいるのにそれは無理だ」と長男が言うと、「俺に出て行けというのか!?」と飯塚さんもつい興奮してしまった。
父の死後、争いはピークに……
結局、公正証書遺言は考え直したり書き換えたりする余裕もなく、飯塚さんは亡くなった。 飯塚さんが亡くなるまでに兄弟の仲はさらに険悪になり、お互いに話をすることなく、もう後戻りできない状態になっていた。飯塚さんの葬儀では長男が喪主となったが、お互いに目を合わせることもなく、険悪な雰囲気だった。 それからしばらくして、次男に裁判所から調停の連絡があった。長男が申し立てしたものだった。双方弁護士に相談して、調停で解決することになった。 次男は「マンションは立地条件がいい高級マンションだから、もっと高いものと考えるべき」と主張。長男は、「たとえ少しぐらいマンションが高かったとしても、母の世話も父の最期までみていたのも自分なんだから、本当はもっともらってもいい。小さいことを言わず父の思いを汲んで欲しい」と反論。 双方、子どもたちが高校生、大学生となりお金がかかる時期になっていることもあり、早く決着をつけたい気持ちは同じだが、マンション価格が引っかかりなかなか話し合いは終わらない。
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