イ・ソンギュン遺作『スリープ』が公開。人気俳優が紡いだ人生の光と影、必見名作6選
ソンギュン演じるゴンスは賄賂で小銭を稼ぐチンケな悪徳警官なんですけど、母親の葬儀に行く途中で見知らぬ男を轢いちゃって、その死体を母親の棺桶に入れて一緒に埋葬しちゃうんですね。ところがこの男が殺人犯で自分のチームが行方を探すことになり、さらにチョ・ジヌン演じる正体不明の男から粘着的にストーカーされはじめるんですね。 ひとつの罪を隠蔽するたびに別の悪事を犯しどんどんドツボにはまっていくさまが必死すぎる姿も、ソンギュンより体のでかいチョ・ジヌンがものすごい圧で容赦なく付け狙ってくるのに虚勢はりながら怯える姿も面白くて面白くて、最後まで行った先にあったものにソンギュン唖然というラストシーンも最高です! 岡田准一と綾野剛でリメイクしてましたが、個人的にはオリジナルのほうが断然面白い!
最近作では、1961年の韓国大統領選をもとに、大統領候補とそのブレインだった男の関係を描いた『キングメーカー 大統領を作った男』も素晴らしかった。ソル・ギョング演じる政治家の理念に惚れ込み、彼のために汚れ仕事を一手に引き受けた男が、それゆえに排除され関係が瓦解していくまでの愛憎を、イ・ソンギュンらしい悲哀とケツの穴の小ささで演じています! 傑作! ※『最後まで行く』Netflixほか配信中 ※『キングメーカー 大統領を作った男』Huluほか配信中
共感を呼ぶ、頼りない男
『ソニはご機嫌ななめ』 ホン・サンスは「女と酒にだらしないクリエイターの男」という多分自分とよく似た男を真ん中に据えた、コミカルな会話劇ばっかり作っている監督なんですけど、ソンギュンは主演から脇役まで4作品に出演し、人間味あふれる情けなさで笑いを取っています。 私がいちばん大好きなのは『ソニはご機嫌ななめ』で演じた映画学校に通う大学生ムンスという役。自由さ無邪気さ計算高さの絶妙なバランスのモテ女、チョン・ユミ演じる主人公ソニが3人の男を翻弄するお話なんですけど、ソンギュン演じるムンスははそのうちのひとり、ソニに最も相手にされない元彼です。