「A&W」人気の理由|沖縄に23店舗、県民に愛されるファストフード店
■自由の象徴として愛される、唯一のファストフード店 (※その他の写真は【関連画像】を参照) 【関連画像】「A&W」人気の理由|沖縄に23店舗、県民に愛されるファストフード店 アメリカで生まれ、日本で沖縄のみにチェーン展開するハンバーガーショップ「A&W」。沖縄にA&Wが誕生したのはアメリカ施政下の昭和38年(1963)11月。沖縄にやってきた2人の米国人が、嘉手納基地近くに米国人相手にドライブインファストフード店としてオープンした。 乗車したまま利用できる「ドライブイン」という形態は、アメリカではすでに広く普及していたが、当時日本ではまだ珍しかった。このアメリカンスタイルが、マイカーを所有するアメリカ人の熱い支持を得た。 また、アメリカ本土と変わらぬハンバーガーの味が遠く離れた地で働く人々の心を和ませたのだろう。当初は訪れる人のすべてが基地で働く米国人だったそうだ。沖縄の人々はそれをただ、見ていた。アメリカ統治下の沖縄は貧しく、欧米式のレストランや料理の数々に誰もが憧れていたのだ。 その約10年後、沖縄が日本本土に復帰。観光客が激増し、比例するようにA&Wの店舗が増えた。ラジオなどでCMソングも流れるようになり、沖縄県民にとって身近なものとなっていった。 ファストフード店というと若者がメインターゲットのようなイメージがあるが、A&Wは違う。店内に入るアメリカ人に憧れていたあの頃の子どもたちが今訪れているため、店内には高齢者も多い。 「繁栄・豊かさ・自由の象徴としての憧れが今でもあるのだと思います」と話すのは広報の玉城明子さん。 じつは鹿児島にも店舗を広げたことがあるがわずか10カ月で閉店。アメリカ文化に寛容で憧れを持つ沖縄だからこそ、ここまでの人気を獲得しているのだろう。 「最大の武器は『沖縄にしかない』ことです」と玉城さんは言う。沖縄県民からは地元の味として愛され、その特別感からか多くの観光客が訪れる。「沖縄のみにある」からこそ、地域も年代も超え人気を獲得しているのだ。 ■■アメリカ人が好きなルートビアの味は? ルートは植物の根や樹脂の発酵飲料で、シコリスやセイヨウタンポポなど約14種のハーブが入っている。好みの分かれる味だが、なぜか飲みたくなってしまう不思議な魅力がある。A&Wではおかわり無料。 ■■A&Wヒストリー 1919年 アメリカ・カリフォルニア州の薬局店員だったロイ・アレンがルートビアを開発。ジューススタンドで販売し、人気を博した。 1922年 フランク・ライトをビジネスパートナーに。2人の名字の頭文字をとって「A&W ROOT BEER」という会社を設立。 1926年 A&Wドライブインなどを開店する権利をビジネス化。これがフランチャイズビジネスの始まりといわれている。 1963年 ドライブインレストランとして、嘉手納近くに屋宜原(やぎばる)店を開設。マイカーブームとなっていた沖縄の米国人から支持を得る。 1973年 屋宜原店の建築を請け負った平良幸雄氏がエイアンドダブリュ沖縄株式会社を設立。A&W米国本社と正式にフランチャイズ契約を結んだ。 アメリカ人相手のビジネスとしてスタートしたA&W沖縄。米軍基地で働く人々の憩いの場となっていった。 ■■アメリカンなメニュー 「チリチーズカーリー&チップス」(500円)や「コニードッグ」(430円)などほかでは見られないアメリカンなメニューも豊富。 A&W牧港店 沖縄県浦添市牧港4-9-1 TEL:098-876-6081 営業時間:24時間 定休日:無休 撮影/渡部健五