【闘病】ずっと「異常なし」だった激痛の正体 「脳脊髄液漏出症」だったとは…
「痛み」は、目に見えず、どの程度痛いのかを客観的に説明するのも難しいため、周囲からの理解が得られず苦しむ闘病者が少なくありません。 闘病者の重光さんは、痛みによって生活ができなくなってしまったのにも関わらず、病院では9か月間「異常なし」と言われ続けたと言います。結局のところ、痛みの原因は「脳脊髄液漏出症」でした。そこで、症状が表れてから現在に至るまでの話を聞かせてもらいました。 ※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2022年6月取材。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
9か月間、「異常なし」と言われ続けた
編集部: 最初に不調や違和感を覚えたのはいつですか? 重光さん: 2005年夏頃、急激に首や背中が痛み出しました。日を追うごとに痛みが増していき、わずか数日で生活や仕事がまともにできなくなりました。 編集部: 受診から、診断に至るまでの経緯を教えてください。 重光さん: 最初は家族の掛かりつけの大学病院の整形外科でレントゲン検査などを受けましたが、結果は「異常なし」と言われました。 次にペインクリニックに行きましたが、やはり原因が分からず、シップや痛み止めを処方されただけで、改善することはありませんでした。その後もいくつかの病院をまわりましたが診断名がつかず、強い痛みのため仕事も休みがちになっていきました。 編集部: 痛みを抱えたままだと辛いですね。 重光さん: たまたま職場の上司の知人が似たような症状を抱えていると聞き、そのつてで患者会を紹介してくれました。患者会で教えてもらった病院で診てもらったところ、「脳脊髄液漏出症の可能性がある」ということで検査入院をすることになったのです。 入院まで半年待ちましたが、検査の結果「脳脊髄液漏出症」と診断されました。この頃、すでに痛みで何もできなくなり、仕事も休職し、一日中横になる生活でした。 編集部: 脳脊髄液漏出症とはどんな病気なのでしょうか? 重光さん: 脊髄に何らかの要因で穴が開き、中から脳脊髄液が漏れ出す病気です。多くは交通事故でのむち打ちや柔道の受け身の失敗などの事故が原因とされる外傷性で、ほかにも脊椎穿刺などの医原性、原因不明の突発性と様々な発症要因があり、症状も多種多様な疾患です。 編集部: どのような治療法があるのですか? 重光さん: 硬膜外自家血注入療法(ブラッドパッチ療法)という治療があります。造影剤を加えてレントゲン透視下で、脊髄硬膜外腔に自身の血液を注入し、硬膜外腔組織の癒着・器質化により穴をふさぎ、髄液の漏出を止める治療です。 1~2回の治療で改善する人もいれば、改善せずに慢性化する人もいます。2012年にブラッドパッチ治療が先進医療になり、2016年から一部保険適用になり現在に至ります。 そのため当時は入院手術をしても医療保険が使えず、10割負担で高額療養費の還付もなく、金銭的にも苦労しました。 編集部: 診断がついたときの心境について教えてください。 重光さん: 診断名がつくまでの9か月間、「異常なし」と言われ、「自分は本当は病気ではなく、気のせいではないか。気持ちの問題ではないか」と悩んでいたので、病気だったとわかり安心しました。 診断名がついたので、治療すれば完治して、元通りに生活、仕事をしながら、趣味の音楽を続けられると前向きになっていたのを思い出します。