吉沢亮「キングダム」でアカデミー賞再び “天陽くん”の出会う力
3年前に語っていた目標“カメレオン俳優”
日本アカデミー賞協会の公式ツイッターで公開されている最優秀賞受賞者インタビューの中で吉沢は、去年に続いて授賞式会場に来れただけで喜んでいたと話し、受賞の心境を「まさかもう一回スピーチすることになるとは。嬉しさと、頭真っ白になって」などと吐露し、「吉沢亮が出ているんだったら観てみたいなって思っていただけるような俳優になれるように、これからも精進していきます」と力強く語っている。 約3年前に筆者が都内のスタジオで吉沢を取材したときはまだ23歳、人気が出始めた頃で、イベントでのファンへの対応がとても親切との評判だった。取材中、饒舌にしゃべるタイプではなく、インタビュイーの質問の意味を咀嚼しながら朴訥に話すタイプだったと記憶しているが、取材者への対応も親切だった。帰りがけスタジオのエレベーター付近で偶然顔を合わせるとわざわざスタッフとの談笑をとめて立ち上がり、一介の取材者に「今日はどうもありがとうございました」とていねいに挨拶をしてくれたことが印象に残っている。 俳優業も最初はバイト感覚で、いつやめようかなと思いながらやっていたのだと話していたが、気がつくと俳優としての自覚ができていたそうだ。そのときは目標として、いわゆるカメレオン俳優をあげ、「どんな役でもその役の人物に見えるっていう役者になりたい。表面的なことは技術があればできるんでしょうけど、この俳優、本当にそういうことやってる人なのかな?って思わせるぐらい、細やかな部分までちゃんと見せられる役者になりたいですね」と熱く話していた。 プロフェッショナルな世界では、人や作品と“出会う力”がものをいうことが多い。本人の俳優としての努力は当然のこととしても、ファンをはじめ共演者や現場のスタッフ、関係者、メディアに至るまで、出会う人々への気づかいも相まって良き出会いを生んでいるのだろう。 (写真・文:志和浩司)