現地撮【チャンピオンズリーグ決勝】カメラマンが見た「巨人の現実」と「現地の異様」 R・マドリードがドルトムントを破って15回目の欧州制覇
レアル・マドリードが2シーズンぶりに、史上最多記録を更新する15回目の優勝を果たした今季のチャンピオンズリーグ。日本時間6月2日(日)早朝に行われた欧州クラブ最高峰の戦いを、イギリス・ロンドンのウェンブリー・スタジアムで撮影した原悦生。生涯サッカーカメラマンが見た、白い巨人の「知られざるリアル」と、スタジアムの「語られざる異様」――。 ■【画像】大スター「60歳に見えない」シャウト&大会MVP「オレっすか」前半34分の猛アピール
一発勝負は、どうなるかわからない
レアル・マドリードが勝つと思っていた人のほうが多かっただろう。 試合前から、2-1や2-0で決着するという声も多く聞こえた。賭け屋で当てに行くなら、3-0もありかなとも思った。 それでも一発勝負は、どうなるかわからない。 レニー・クラヴィッツの派手なオープニング・ショーが終わって、ウェンブリーはまだ煙っていた。 サイドが入れ替わった。 キックオフ直後、そんなどさくさに紛れて、賞金目当ての数人による計画的なピッチへの乱入があり、試合が止まった。バックスタンドの観客席まで逃げ切った輩もいたが、緊張感が薄れてしまった。 そのせいだけでもないのだろうが、前半、マドリードはボルシア・ドルトムントに押された。 GKティボ・クルトワの好守がなければ、1点は奪われていただろう。 この試合を最後に引退してピッチを去るトニ・クロースは、「よいチームになるまで時間がかかった」と振り返った。 クロースにとっては最高のファイナルになった。ルカ・モドリッチ、ダニ・カルバハル、ナチョ・フェルナンデスらと並んで、彼自身6度目のビッグイヤーを手にすることができた。
■64歳の指揮官が「夢のようだが現実だ」
マドリードはなんと通算15回目の欧州制覇。ミランの7回を大きく引き離している。 カルロ・アンチェロッティ監督自身は、通算5度目の欧州制覇。ミランで2度、マドリードで3度。スペイン、イングランド、ドイツ、イタリア、フランスの各国リーグで6度の優勝。アンチェロッティのトロフィ・コレクションは、その右に出るものはいない。 前半、ドルトムントに何度もボールを奪われたマドリードは、危ない場面に遭遇していた。 前半だけだったら、誰が見てもドルトムントに分があった。 だが、アンチェロッティはハーフタイムに選手たちと話し合って、後半は自分たちの試合にすることができた。 「夢のようだが現実だ。決勝というのはこういうものだが、非常に難しい試合だった」 64歳の指揮官は冷静だった。 ヴィニシウス・ジュニオールの2点目が勝利を決定づけた。
原悦生
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