Googleに対抗するAIスタートアップ、ジェフ・ベゾス氏などから7360万ドルを調達。AI回答エンジンの開発加速か
Perplexityの広告表示と商業化は始まるのか?
このように、GoogleやBingといった検索エンジンだけでなく、ChatGPTやBardとも一線を画すPerplexityが、名だたる投資家を魅了し巨額の資金を集め注目を集めた今回の投資ラウンド。 BloombergでのインタビューでCEOのスリニバス氏は、調達した資金を「広告」にも利用するかと問われ「支出の大半は技術開発になる。これまでもユーザーはソーシャルメディアでの紹介や、口コミ、既存のユーザーへの紹介といった形で有機的に(広告なしで)増やしてきた経緯がある」と述べ、広告支出への言及を明言しなかった。Perplexityの月間アクティブユーザー数は1,000万人とされ、2023年10月の時点で4,035万の訪問数を記録するなど、急成長を遂げている。 なお同じインタビューで、商業化についての質問には「成長と共に収益化することは可能だが、ユーザー数を増やすこと。これは弊社の投資家も同じ考えだ」と述べている。 Perplexityは、基本的に利用料無料(Pro版やCopilotの無制限使用は有料)、アプリをインストールする必要もなくすぐに利用でき、広告が表示されることも、回答が広告に左右されることが無いのも魅力の一つではあるが、持続可能性を鑑みて遅かれ早かれ「商業化」される日が来るのだろうと、薄々感じずにはいられない。
AI市場への影響
より精度が高く、人間に近い回答エンジンを開発したいとするエンジニア集団が立ち上げたスタートアップ。Perplexityの革新的なエンジンの開発が、巨額の投資によって加速することは明らかだ。 スリニバス氏もまたブログで「私たちのテクノロジーだけでなく、それを人々がどう利用するか(が重要)。現在、人々がオンライン情報にアクセスする方法が大きく転換する曲がり角にある」とした上で、「最速で、最も精度が高いプラットフォームの構築を続けることによって、地球をよりスマートにする」ことが同社の壮大なミッションだと言及。 一流の投資家や技術者、それに同社に信頼を寄せている何百万ものユーザーに敬意を表しつつ、同社の創設者集団は商業化よりも精度のアップやより人間らしい対話を目指していることがうかがい知れる。 Perplexityの技術革新が加速すれば、今年中にもAI検索市場に大きな影響を与えるであろう。GoogleとMicrosoftの牙城に迫るべくスタートアップに投資した投資家たちは、まずは市場の混乱、そしてゆくゆくは収益化、そして市場でのトップの座を奪うことを狙っているだろう。 このAIの時代に、Perplexityが巨額な資金を得てどのような動きを見せるのか、非常に興味深い。
文:伊勢本ゆかり /編集:岡徳之(Livit)