Googleに対抗するAIスタートアップ、ジェフ・ベゾス氏などから7360万ドルを調達。AI回答エンジンの開発加速か
GoogleとMicrosoftへのチャレンジ
GoogleとMicrosoftが長年席巻してきた検索エンジンの領域に、対抗馬となる可能性を秘めたPerplexityは、ユーザーにより良いAI体験を提供することで両社と争えると確信している。 PerplexityはシリーズAの投資ラウンドで得た資金で、Copilotを発表している。オリジナルのPerplexityよりもインタラクティブで、カスタマイズされた回答をし、多岐にわたる引用ソースを用いた包括的な体験ができる、これまでにないAIのリサーチアシスタントが「シンプルな質問により深い知識や情報を提供する」というものだ。 同社のデモ版では「京都への旅行計画を手伝って」という質問を基に、Copilotが「質問を理解」するまでの数秒の待機の後、ユーザーに「旅行に出かけるのはいつですか?」と逆に質問を投げかけてくる。あえて月を指定せずに「桜の季節」と回答すると、Copilotがその意味を理解し、桜の季節という条件を踏まえた検索をした後、京都の人気観光地をリストアップし、「興味がある場所をお選びください」とさらに要求してくる。ここまでに、広告が表示されることもウェブサイトのリンクが長々とリストアップされることもなく、各ステップ数秒で処理されていく。 最終的に回答が提示される際にも「桜の時期に京都へ旅行したいあなたへの回答」として、ユーザーの質問から理解したことを要約している。また、回答が意図しないものであった場合は、「やり直し」ボタンをクリックすれば「予算はいくらですか?」などといった別の質問を投げかけてくる。別のアングルから最初の質問を理解し直して、別の回答を生み出す仕組みで、旅行代理店のカウンターさながらの対応力を見せているのがこのCopilotだ。
2024年の市場予想
ヨーロッパのテクノロジーの専門オンラインジャーナル「Tech.eu」は今年初め、2024年の予測を発表している。AIが身近な存在となる象徴的な2023年が終わり、新たな幕開けとして2024年には何が期待されるだろうか。 北欧最大のプライベートラボSilo AIのCEOピーター・サルリン氏は「ChatGPTが遂げた大躍進は科学ではなくユーザーエクスペリエンスだ。だが同時に、目を見張るような投資の波を引き起こした」と2023年を振り返っている。その投資のほとんどが「エンジニアリング」に対する投資で、2024年もこの傾向が続くと予想している。 またTech.euは、AIモデルのトレーニングの費用と、インフラやハードウェアの不足が主な問題になるとも指摘。「データは新たな石油」と称されるように、トレーニング用のデータは開発に欠かせない存在であり、ウクライナのディープテック、Zibra AIのCEOアレックス・ペトレンコ氏は「十分なデータを持ち合わせていない企業が、リリース可能なソフトウェアを展開するには、データを所有している企業とのコラボでワーキングモデルを開発し、有料でリリースするしかない」と指摘しているのも興味深い。 Perplexityには、広範なテキストやコードデータセットでトレーニングされた大規模言語モデルが使われているため、さまざまな質問により的確で感覚的な回答が生成される。同社のAIはディープラーニングのアルゴリズムを基に構築されており、絶えず進化し正確性を改善していることや、同社のAIが人間の言葉のニュアンスを理解すること、さらにリアルタイムに最新のトレンドやインサイトをアップデートし続けているために精度が高いとしている。