「役職定年」でへこみがちだが…本当はやる気のある「中高年男性」がその後もいきいきと働き続けるには【キャリアコンサルタントが解説】
年齢を経てもフラットに働ける環境づくりを
働く意欲のある多くの中高年男性が、組織の事情と折り合いをつけながら、働き続けるためには、年齢を経てもフラットな関係で、働き続けられる環境づくりと個人の意識の醸成が必要です。 人事制度面では、役職定年という制度の在り方を見直すことだけではなく、副業・兼業やフリーランスへの転換など、個々人の希望や能力、ライフスタイルにあわせた働き方や、働き続けていくための技能やスキルの獲得機会を早いうちから、柔軟に選択できるという選択肢はもっと与えられてもよいと感じます。 加えて最近では、メンターとメンティの年齢や職位を逆にして行うリバースメンター制度を活用している企業が出てきています。たとえば、ITリテラシーなどは若者のほうが高く、若者が得意な分野を年齢層の高い人に教えることで、若者の活躍や生産性の向上のみならず、年齢が異なる層同士のコミュニケーションの活性化にも寄与することが期待できます。日ごろから年齢の若い人から教えてもらっていれば、将来、職位が逆転したときの仕事のやりづらさも軽減できると考えます。 一方、働く側も自分のキャリアを勤め先任せにしないように心がけることが必要です。定年あるいは役職定年を迎える段階になってから、「こんなに一生懸命尽くしたのに……」と勤め先に対して複雑な気持ちになる方は少なくありません。 いままでの人生を振り返って、周囲に気を遣い、自分の意思に反して合わせながら生きてしまったという気持ちが少しでもあるならば、自分が本当に望んでいることを起点に人生が歩めるよう、気持ちを切り替えることが大切なのだと感じます。 <参考> ※ 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「65歳定年時代における組織と個人のキャリアの調整と社会的支援-高齢社員の人事管理と現役社員の人材育成の調査研究委員会報告書-」(平成30年度) 小島 明子 日本総合研究所創発戦略センター スペシャリスト
小島 明子