小池百合子都知事が都議会で自身に批判的な議員を退席させた?【ファクトチェック】
関口議員の退席の理由は 検証対象の動画には「百合子の独裁政治」という文言が赤で大きく強調され、小池都知事に対して批判的な発言をしたことが都議の退席の理由であるかのような編集となっている。 しかし、予算特別委の録画映像によると関口都議が退席を命じられたのは「関口健太郎委員の不穏当な発言の取消しを求める動議」の採決の前だ。 JFCは東京都に関口議員の退席の理由について確認した。 都議会議会局議事部議事課は「『関口健太郎委員の不穏当な発言の取消しを求める動議』の採決の前段として、都議会委員会条例18条に則り、本人に採決時席を外すべきか否かを諮って決した」と回答した。 東京都議会委員会条例18条では「委員は、自己若しくは父母、祖父母、配偶者、子、孫若しくは兄弟姉妹の一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、その議事に参与することができない」などと規定している。 関口都議以外に退席を求められた事例があるかどうかを確認したところ、議事課は「東京都議会委員会条例18条に該当する事件の際、議員の間で合意が取れていれば自然発生的に除斥になることもある。今回は除斥するべき・するべきではないという意見が双方あったため採決という形に至ったが、他の議員に対しても同様の除斥が行われることがある」と答えた。 「除斥」とは、ある事案やその当事者に関係する人をその事案に関する議事などから取り除くことなどを言う。動画のテロップは「除席」となっていたが、意味が異なる。 実際に、3月26日予算特別委では福手裕子都議(日本共産党)に対して「福手ゆう子委員の虚偽の発言の取消しを求める動議」が提出され、採決に先立って福手都議も除斥されている。 議事課によると、除斥された関口都議は、自身に関する動議の採決後、次の議事から自席に戻っている。
判定
関口健太郎都議が予算特別委員会で除斥され、退席したのは事実だが、自身が関係する議事に加われないという都議会の条例に基づく手続きで、議事後は席に戻った。拡散した動画は議事進行の順番を変えて編集されており、「小池都知事が自身に批判的な議員を退席させた」はミスリードで不正確と判定する。 あとがき 2024年6月20日から都知事選挙が始まりました。候補者に関係する偽・誤情報が拡散しやすい状況になっています。画像の改変やミスリーディングな動画の編集などは、よくある手法です。発信元が不確かな情報については、関連情報や元資料の確認をせずに信じたり、拡散したりしないようにしましょう。 検証:木山竣策、リサーチチーム 編集:古田大輔、宮本聖二、藤森かもめ 判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。検証記事を広げるため、X、Facebook、YouTube、Instagramでのフォロー・拡散をよろしくお願いします。