珍名所「秩父陸橋」を解体、平面道路にする工事開始…今は何もないのに勾配上り下り「さびしいと話す観光客も多い」
埼玉県秩父市中心部の国道140号で、「秩父陸橋」を解体・撤去して平面道路にする工事が始まった。 【写真】秩父鉄道を走るSLパレオエクスプレス
秩父鉄道秩父駅近くにある陸橋の隣接地にはかつて、武甲山で採掘された石灰岩を原料にセメント関連製品を生産した旧秩父セメント(現太平洋セメント)の第一工場があった。工場と同鉄道本線の間には引き込み線があり、陸橋は長年、跨線橋(こせんきょう)の役割を果たしていた。
しかし、引き込み線は約30年前に廃止され、その後は何もないのに勾配を上り下りする秩父の珍名所になっていた。工事を担当する秩父県土整備事務所によると、10月下旬から陸橋は通行止めとなり、迂回(うかい)路を確保した後に解体工事を行い、跡地に新道を整備する。事業完了は2027年度末の見通し。
隣接する「道の駅ちちぶ」に出店する女性店主は「陸橋は週末など渋滞が激しい」としながらも、「陸橋を渡ると『秩父に来たと感じる』という観光客も多く、『なくなるの? さびしくなる』というお客さんも多い」と話す。
同事務所は地域外から同市方面を訪れる車利用者に対し、「週末や休日は別ルートを利用するなど、陸橋付近の渋滞回避に備えてほしい」としている。