冬至に入る柚子湯 何も入れない「さら湯」と比べて温浴効果は?…推奨される柚子湯の作り方
風呂やサウナと健康について考える「浴なび」
木枯らしが身に染みる季節になりました。外出の際は、近所にある商店街の果物屋をのぞくのが習慣になっています。先日はミカンやリンゴの間にユズが並んでいたので、思わず手に取り、いくつか買ってしまいました。 【図解】週7回以上入浴すると、2回以下の場合と比べて3割低くなるリスクは? 鍋料理に使ったり、蜂蜜と炭酸水を合わせて飲み物にしたりするほか、風呂で柚子(ゆず)湯を楽しむのもいいものです。
<吾子はをみな柚子湯の柚子を胸に抱き>(山口青邨)。「をみな」とは若い女性を示す古語です。黄色い実を優しく抱きとめる幼い子に女性らしさを感じた父親の心情が目に浮かびます。 四季折々の植物を入浴剤のようにして楽しむ日本の文化の中でも、柚子湯はその代表格です。江戸時代の銭湯から続く伝統があります。
歳時記をめくると、冬至の日(今年は12月21日)に入ると、風邪を防ぐと記されています。その効果を科学的に確認したのが、東京ガス都市生活研究所です。 ユズを浮かべた湯と、何も入れていない「さら湯」にそれぞれ10分間、入浴した後の皮膚の温度を比較したところ、柚子湯の方が1・5度ほど高く、湯上がり後50分が経過した後も高い保温効果が続くことがわかりました。 ユズの皮に含まれる成分が持つ血行促進作用によるものだと考えられています。この成分には、皮膚の角質を膜で覆ってしっとりさせる保湿効果もあるとのことです。 ユズならではの心地よい香りに包まれることによるリラックス効果も大きそうです。 柚子湯の作り方について、同研究所は「2、3個の実をそのまま浴槽に浮かべる」方法を推奨しています。皮や実を切ったり搾った果汁を入れたりすると刺激が強く、肌がぴりぴりする場合があるとして注意を呼びかけています。 自宅で行うのは面倒でも、冬至の前後に実施する銭湯もありますので、探してみてはどうでしょうか。 <残る日の柚子湯がわけばすぐ失せぬ>(水原秋桜子)。 柚子湯の中でゆっくりと足を伸ばし、「今年もあと少しだな」と振り返るのも良いですね。(竹井陽平)